AKIRA/アキラ
採点:★★★★★★★☆☆☆
2005年1月19日(DVD)
監督:大友 克洋

世界中に多くのディープなファンを持つ、ジャパニメーションの先駆け的存在の映画。

1988年7月、第3次世界大戦が勃発し、東京は壊滅した。2019年、鉄雄は友人の金田らとバイクで走っていたところタカシというしわだらけの子供を轢きそうになる。避けようとしたが、転倒して重傷を負ってしまう。そして鉄雄はタカシと共に軍に連れ去られてしまう。軍によってつれさられた鉄雄はタカシと同じようにしわだらけの子供、キヨコ、マサルと出会う。3人の子供は超能力の実験体で、もう一人のアキラという子供もいたが、超能力があまりに強大でコントロールできないためカプセルの中で眠らされていた。やがて鉄雄も恐るべき超能力を身につけ、周囲を破壊していく。その力はアキラにも匹敵するほどになり、軍の施設を抜け出し、アキラの眠るオリンピック会場建設場へ進む。軍の抵抗を潜り抜けた鉄雄。その前に立ちはだかったのはゲリラのケイという女と手を組んだ金田だった。しかし金田の制止を振り切り、鉄雄はついにアキラのカプセルを壊してしまう―――。

とにもかくにもストーリーが素晴らしい。最後の最後まで結末が読めないだけでなく、途中途中の展開も先が読めない展開になっていて、飽きることなく最後まで見続けられる。
1980年代に公開されたにも関わらず、第三次世界大戦後の世界を描いているということで、今見ても時代を感じさせない内容になっており、キャラクター設定も一人一人のパーソナリティーが際立っていて、わかりやすく、感情移入しやすくなっている。
悪ガキ集団(あるいは暴走族か?)のボス的存在の金田は運動神経も良く、仲間の信頼も厚いという、10代後半の男なら誰もが憧れるような人物像。昔からいじめられっ子でいつも金田に助けられてきた鉄雄は、助けられるが故に生まれる"助けられなくても、俺一人でも、やれるんだ!"的考えから、身に着けた能力を暴走させてしまう。軍人として、街を守ろうという誇り高さ、そして頑なまでの意志を持った大佐。そしてゲリラとしての謎めいた雰囲気と気の強さを持ちつつも、女性としての弱さも見せるケイ。
この辺りのキャラクター設定の良さが多くのファンを生んでいる一要素になっているのだろう。

しかし、場面ごとの転換(カット)が少し雑なように思えた。うまく表現できないが、ある画面から次の画面への転換が唐突なのだ。普通の映画であれば、物語の転換と映像の転換点を合わせて(さらにフェードを使うなどして・・・)、うまくつなぐのだが、この映画は唐突なのだ。最初のほうは、それが斬新に見えたのだが、それ以外の転換がなく、全編を通してこの転換がいたるところに見られ、物語の転換と映像の転換が一致していないため、その点が気になった。

全体を通してみれば、TV用アニメではなく、映画用のアニメとして成り立っている作品であり、世界中のあらゆる国で放映されているいわゆるアニメ(子供向け)ではなく、ジャパニメーション(大人向けアニメ)としても成り立っていて、その先駆者という名に恥じない作品です。

一口コメント:
日本アニメの中でも実写版が見たい度、ベスト3に入る作品です。

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