雨鱒の川
採点:★★★★★☆☆☆☆☆
2006年10月22日(映画館)
主演:玉木 宏、綾瀬 はるか
監督:磯村 一路

現在LAにて開催中の日本映画の映画祭、Chanoma Film Festivalにて見た作品。玉木宏と綾瀬はるかというキャスティングに魅かれて見た作品。

8歳の少年、心平は父を亡くし、母親とニ人で暮らしていた。絵を描くことが好きで、授業中も絵を描き続けていた。そして放課後は川で魚捕りをする。耳が聞こえない小百合とは小さな頃からいつも一緒で、不思議とニ人の間では言葉が通じ合った。
ある日、川に潜っていた心平は、大きな雨鱒に出会い、すぐに友達になった心平は、毎日小百合と一緒に雨鱒と川で遊ぶようになる。数日後、オスの雨鱒がメスを連れてやってきた。結婚して上流の方に行くらしい。小百合が「あたしも大きくなったら心平のお嫁さんになる」と言い、二人は雨鱒たちに結婚を約束する。そして二人は雨鱒とさよならをした。
それから14年後、心平は高倉酒造で作業員として働き、小百合と故郷で昔と同じょうに仲よく過ごしていた。心平は仕事よりも絵に熱中し、そして魚を捕って過ごすことが喜びだった。そんな時、高倉から心平に東京から絵を描きにこないか?というオファーがあることを告げられ、心平は東京に行く決心をする―――。

日本映画なのにオープニングが、パラマウントのロゴから始まったのには驚いた!作品を見終わった後も、一体全体どこで絡んでいるのかさっぱりわからないし・・・。

まずはストーリー展開についてだが、幼少期の描写がとても重要なのはよくわかるが、ちょっと長すぎた感じが否めない。あるいは幼少期と現代を単純に現代⇒幼少期⇒現代と描くのではなく、この2つの時代を交互に描いていけば、もっとバランスの取れた描写ができていたのではないか?と思う。
ま、しかし予告編を見た時の期待値がかなり低かったので、本編を見終わった後の満足度は比較的高かった。それと同時に自分が予告編を作っていれば、もっと面白い予告編を作れたのに・・・と思ってしまった。

ストーリー展開と音楽は良いのだが、キャスティングがちょっと悪い。例えば、中谷美紀。夫が死に、1人で広い大地で農作業をしている主婦としては、色白だし、何より華奢すぎる。それにも関わらず、1人で重いはずのダンボールを運ぶシーンを描写したりしているのが、余計にミスキャスティングを強調してしまっている。
綾瀬はるかもミスキャストの1人だと言える。今の綾瀬はるかならまだ良いのだろうが、この作品当時の綾瀬はるかは、というよりもこの作品のサユリを演じる女優としては、ちょっと太っているのではないか?もっと細身の女優をキャスティングすべきだったのではないか?と思う。待っている女性としては、ちょっと印象が強すぎるのだ。

また雨鱒のCGは水面より上から撮っている部分に関しては、なんら問題ないのだが、水中でのシーンのCGはひどい。水面より上から撮っているカットの場合は、水の揺らぎや光の当たり方なども含めてかなりのレベルなのだが、水中でのカットに変わると、同じスタッフが作ったものなのか?とすら思えるほど、格段にCGのレベルが落ちるのだ。

そんな中、すごく魅かれたものがある。それは作中で登場する2つの雨鱒の絵(幼少期の心平と青年の心平がのだが、この絵が素晴らしい!!)。どうやら音楽も担当した葉加瀬太郎がデザインしたものらしいが、この絵は、作品の中で一番輝いていたといってもいいかもしれない。

一口コメント:
キャスティングとシーンのバランス配分を考えれば、もっと良い作品になれるだけのものを秘めているだけに少し残念な作品だと言える。

戻る