バックダンサーズ! |
アメリカにいながら、最近邦画ばかり見ている気がしないでもないが、ツテで入手したこの作品。もし仮に公開時に日本にいても見なかったであろう作品でもある。
人気絶頂の中、突如引退を発表したシンガー樹里。それに伴い、残されたのバックダンサーの4人は仕事がなくなり、将来に不安を感じ始める。ダンサーにゴールはあるのか?という大きな不安を・・・。
事務所は樹里が戻ってくると信じ、新米マネージャーの茶野を4人につける。茶野は時代遅れのオヤジロックバンド"スチール・クレイジー"(スチクレ)とのライブツアーを企画する。しかし事務所からデビューした別のユニットが売れ始め、事務所は樹里を見切り、バックダンサーズの解散を決める。しかも最後のステージは、なんとその後輩ユニットの前座!本番直前に、これがラストステージだと知らされた4人は、客の前で大ゲンカを始め、会社をクビになり、メンバーもバラバラに散っていった。
それでも茶野だけはバックダンサーズ再結成を願い、4人のために1人で動き出した―――。
結論としては、映画というよりは2時間ドラマといった感覚に近い作品。まずストーリーは、夢を追いかけ始めて、夢に挫折して、友情も壊れて、それでも最後には夢を叶える・・・といった青春ドラマの王道。なので、悪くはないが、各段によくもない。
全体的には、途中、陣内孝則率いる中年ロックバンドとツアーに出るあたりまでの展開は面白かったのだが、ダンス映画ということから考えると、もう少しテンポを早めた方が良かったのではないだろうか?
4人のダンサーのキャラ設定はそこそこ面白い。2人は根っからのダンサーでありながら、他の2人は歌手としてのソロデビューを目指す女と元キャバ嬢。だが、元キャバ嬢にソニンをキャスティングしたのはいかがなものか?元キャバ嬢としてはありだが、ダンサーとしては・・・。4人が並んで踊るシーンで、1人だけ明らかに太いのだ。DVDですらそう感じるのだから、劇場で見たら、相当なものだろう。
そして、この作品の最大の欠点は、素人考えかもしれないが、ダンスそのものに魅力を感じない点。踊り手が駄目なのか?(hiroだけは格段にうまく見えるが、他の3人はどうなんだろう・・・)それとも撮り手が駄目なのか?はわからないが、ハリウッドのダンス映画やミュージシャンのPVと見比べると、一番の売りであるはずのダンスシーンが見劣りしてしまうのだ。
映画の中盤で見せるダンスバトルのシーンは見ていて、面白かったが、クライマックスのダンスシーンはいまいちだった。
しかし、hiroと陣内のデュエット曲は良かった。陣内の弾き語りにあわせてhiroが歌うのだが、そこはさすが歌手hiro。久々に彼女の歌声を聞いたが、70年代の曲と彼女のボーカルが妙にマッチしていて、個人的にはそのシーンがこの作品のハイライトだったかもしれない。
最後のクライマックスのダンスシーンでも陣内が作曲した70年代テイスト曲を使用するという流れだったのに、結局その曲は流れなかった・・・。上述の曲が良く、ちょっと期待していただけにとても残念だった。
陣内孝則演じる中年ロッカーはなかなか面白みのあるキャラだったので、中年ロックバンドとバックダンサーズとの絡みをもう少し深く描いていれば、もっと面白くなっていたのではないだろうか?