名探偵コナン 銀翼の奇術師 |
先月の「イン・ザ・カット」に続いて、またまた見たい映画が満席だったため、急遽空いている作品に切り替えて見ることになった作品。もともとTVで放映されている劇場版は何度か見たことがあって、どれも面白かったので、外れはないだろうと思っていたが、今回は今までTVで見たどの作品よりも面白かった。
ある日舞台女優牧樹里から、彼女の所有する「運命の宝石」を奪うという怪盗キッドの犯行予告状の解読依頼が舞い込んできた。小五郎は、樹里が主演する公演最終日にキッドが現れ、劇中で使用しているその宝石を奪うだと予告する。公演に招待された小五郎、蘭、コナンら一行は、小五郎が予言したとおり犯行がおこるかを確かめるために東京の汐留シオサイトに新設された劇場「宇宙」を訪れた。
コナンは、小五郎の推理が間違っていることに気付き、怪盗キッドの出現を待っていた。そこへ大胆にも新一に変装したキッドが現れた。
コナンは、キッド扮するニセ新一がおこす犯行の証拠をつかむために、片時も目を離さない。やがて、情熱的なその舞台がクライマックスに差しかかろうとした時に、客席から新一が姿を消し、あとを追いかけるコナンは、キッドをビルの屋上へと追いつめる。警備員は、一瞬にしてキッドの姿に変わり、コナンとキッドのバトルが始まる。
キッドのトランプ銃とコナンのサッカーボールの軍配はキッドに上がり、コナンが誤って転落してしまう。それを助けようとキッドも屋上から飛び降りた。しかし、キッドを捕まえるために、コナンは自ら落ちたのだった。摩天楼のごとくそびえ立つ、シオサイトのビルの隙間を華麗に飛行するキッドと追いかけるコナン。ついにキッドを追い詰めたかに見えたコナンだったが、あと一歩のところで、キッドに逃げられてしまう。
しかし、無事に宝石を守ったことで、牧樹里に感謝された小五郎、コナンら一行は、そのお礼に北海道にある樹里の別荘に、舞台関係の役者たちとともに招待を受ける。しかし、コナンは、キッドがこのまま犯行から手を引くと思えず、また予告状に隠された本当の意味を捜し求めていた。コナンたちが乗り込んだ大型旅客機は予定通り函館に向け離陸したが、コナンたちの想像を超えた事件が待ち構えていた。密室と化した飛行機の中、巧妙に仕組まれた殺人ショーの舞台の幕が上がった―――。
毎週、週刊「サンデー」で漫画を読んだり、たまにTVを見たり、冒頭で書いたようにTVで放映される劇場版を見たりと、今までにもかなり見ていたこの作品だが、劇場で見たのは今回が初めてだったが、客層は予想していた通り、子供3割、大人7割といった感じだった。「ドラえもん」とは違い、このシリーズは大人も見に行く作品だということは聞いていたが、実際にこれほどまで大人が多いとは思っていなかった。
内容的には下手なハリウッド映画よりも断然面白い。このシリーズの核である謎解きはもちろんだが、今回は謎解きよりもパニック的要素が強く、今までの劇場版とは一味違っている。謎解きが終わった後の飛行機のシーンは見応えがある。それ以外にも怪盗キッドの絡むシーンはこのシリーズの人気キャラだけあって、非常に面白い。特にコナンとキッドの空中バトルは実写化されたら、見応え満点だと思う。また今回はコナンvsキッドだけでなく、コナン&キッドの協力体制も見られ、この点も今までのコナンvs犯人という視点以外を取り込んだ新しい視点で描かれていて、シリーズ物としては宿命的な慢性化を防いでいる。
とはいえ、どんなに優秀な探偵であっても、飛行機の操縦を出来る高校生がいるわけないし、ましてや大人の男性が機内に同乗している条件下で、女子高校生に操縦桿を握らせるなんてありえない、など矛盾点はアニメだからということで、さらっと流せてしまう。ここがアニメの強い点でもある。
毎回劇場版コナンを見るたびに思うのだが、コナンなど登場人物の設定を変更して、ストーリーを忠実に実写版にしたらかなり面白い作品になるだろうと今回も思った。アニメだから可能な設定かといえば、CG全盛の今の映画業界なら、不可能ではない設定なだけに期待は高まる。日本のアニメの代表格ともいえる「ドラゴン・ボール」のハリウッド製作による実写版が2007年公開予定だが、このシリーズもいつの日か実写化されることを期待したい。