ドラッグストア・ガール |
田中麗奈がコメディー初主演ということでずっと見たかった作品だったが、一時日本に帰国していたルームメートが持ってきたDVDの中にあったので、真っ先に見た作品。
大林恵子は薬学部の大学3年生。ラクロス部に所属している。ある日授業が休講になり、早めに同棲中の彼氏の元へと帰るが、浮気現場を目撃することになり、泣きながら電車に飛び乗り、辿り着いたのは、聞いたことも無い町、摩狭尾。ひょんなことからドラッグストアでバイトをすることになる。そんな恵子の前に、商店街の中年オヤジたちが現れ、ラクロスを教えることになる・・・。
冒頭、彼氏の浮気現場を目撃するシーン。トイレという設定が面白い。何か物音がすると思い、シャワー・カーテンを開けると入浴中の彼氏と浮気相手を見つけてしまう。そして発した一言が「何で?」。「あなた誰?」との問いかけに「鈴木です。」と答える浮気相手。それに対して更に「何で?」の問いかけ。非常に面白い。
"理系の女"という、「主人公の設定=とにかく"何故?"を問い詰めたがる」という設定がとてもわかりやすく、かつ笑いにつながっている素晴らしいシーンだった。が、しかしこのシーンがあまりにも面白すぎて、それ以降のシーンが少し見劣りしてしまった。(とはいえ、こまごまとした笑いは全編を通してあり、最初から最後まで笑えます・・・)
そしてそんな主人公に恋をしてしまう中年オヤジ連中。柄本明、三宅裕司、伊武雅刀。考えてみればかなり渋い・・・。そしてジェロニモ役の徳井優(サカイ引越しセンターのCMの人)。役者としては個性あふれるタレントが揃っている。この4人が、恵子に恋をして、なんとかデートしてもらおうとラクロス(作品中では"網ボール"と呼んでいたが・・・)の練習を始める。製作者の人たちは、このオヤジ連中の姿に宣伝文句でもあった「笑いと涙と元気を補うサプリメント」を込めたのかもしれないが、正直、笑いこそあれ、涙はなかった。"元気を補うサプリメント"という意味では田中麗奈の演技がそれに値するものがあったかもしれないが・・・。
全体を通して見ると、コメディーは面白いのですが、主題があいまいでわからない。個々のエピソードや小手先の受け狙いに走っているように思えました。「理系の女」、「ラクロス」、「中年の頑張り」。いろいろな要素を詰め込んだようにも思えますが、特に題材のラクロスはいまひとつでした。というのも、ラクロス以外のスポーツでも、話としてはぜんぜんいける内容だし、アメリカのチームとの親善試合における「少林サッカー」的なオチは、中途半端だった。「少林サッカー」があそこまでギャグに走っているのに、それを真似ようとしているのかわからないが、そこまで思い切ったことをしているわけでもなく、中途半端としか言いようがない。どうせなら、この試合だけは真面目に描いて、作品の中で唯一引き締まるシーンにするか、上述したように徹底した笑いに走るか、ということをしていないため、少しダラダラ感が漂ってしまっている。
更に言うと、ジェロニモ。インディアンにつれていかれてしまうのは、確かに面白いのですが、飛行機に乗るシーンよりも、アメリカでラクロスをしているシーンを入れたら、もっと面白かったのではないか?
そして一番の疑問は、パン屋の沼田の死。死なせる必然性もなければ、彼が死んだことによって劇中に何らかの効果があったわけでもない。あの描写の仕方だと恵子のしごきで死んだみたいにしか見えないし、コメディーとは言え、死を笑いのネタにするのはどうかと思う。
田中麗奈が出演しているということで、見たけれど、正直映画よりもTVドラマ向けの内容だと感じた。