ノ  ロ  イ |
映画館で見た予告、映画館においてあるチラシを見て、本能的に面白そうと思って見に行った作品。
映像作家小林が映像作品「ノロイ」を完成させた直後、彼の自宅が全焼し、小林自身は消息不明となり、自宅の焼け跡からは妻の焼死体が発見された。
その作品の中身はあまりにも衝撃的な内容であり、今回はキーワードのみを記載するにとどめておきたい。
 「いないはずの赤ん坊の泣き声」
 「石井潤子」
 「霊体ミミズ」
 「最強の霊能力者」
 「奇声とハト」
 「鬼祭」
 「禍具魂」
見終わった後の感想、というか見ている際中から思っていたが、めちゃくちゃ怖い。実際に起こった物語であるということ。映画の中にも実際の映像が使われているらしいということ。正直、どこまでが実際の映像なのか?後から追加された映像なのか?わからない。そしてそれ以上にどこまでが真実なのか?ということがまったくわからなかった。
ハトの死体、大量の犬の死体、禍具魂の仮面、奇声を発する女性・・・などの映像一つ、一つも怖いのだが、それ以上に怖いのは各映像の並べ方というか、物語の構成の順序。
冒頭、小林が行方不明になったこと、家が全焼し、妻の死体がその中から見つかったこと、が述べられる。そして小林が最後に完成させた映像「ノロイ」のことも・・・。そこから「ノロイ」の映像が展開されていく。この始まり方に、圧倒的なまでに作品に引き込まれていった。
そしてその後の展開、構成も上手い。基本的には3人の物語が中心になって進んでいく。一人は禍具魂の権化、石井潤子という女性。一人は霊能力少女、矢野加奈。一人は禍具魂の被害者、女優松本まりか。そして霊体ミミズの霊能力者、堀光男。物語の中心は石井潤子であり、上述の四人それぞれにいろいろな伏線があり、それぞれが複雑に絡み合っていく。それは幾何学模様の落書きだったり、不可思議な結び方の紐だったり・・・。最後に全ての糸がぴたりと絡み合う。
その中でも矢野加奈の伏線は面白い。透視能力などの霊能力実験における彼女の特殊能力、その後彼女に起こる症状、そして彼女の失踪。そして彼女の両親。彼女の失踪後、父親が母親を刺殺してしまうのだ―――。
そして最後、ここで終わればいいのに、と何度も思わされるほど怖かったくらいに何度か終わるポイントはあったのだが、終わらない。だからといって間延びするわけでもなく、最後の最後まで本当に怖かった。終わった時は館内がどんよりとした雰囲気に包まれていた。
ハリウッド版ホラー映画とはまったく異なる、かつ今までの日本版ホラーの要素を含みつつも、いままで見たことのない作品として成立している、とにかく本当に怖い映画でした。