プリンセス トヨトミ |
"大阪全停止"というキャッチ・コピーと予告編に魅かれて、以前から見てみたいと思っていた作品。
東京から3人の会計検査院調査官が大阪にやって来た。調査対象を徹底的に追い詰める"鬼の松平"、その部下"ミラクル鳥居"、そして日仏のハーフ・旭。
彼らは大阪での実地調査を進める中、空堀商店街を訪れる。松平は、その商店街にある財団法人OJOに不信な点を感じる。だが、徹底的な調査を重ねるも、経理担当の長曽我部にのらりくらりとかわされる。しかし鳥居が漏らした一言、「これでOJOが嘘をついているとしたら、大阪中が口裏を合わせていることになりますよ」に、松平が反応した。
そして再びOJOを訪れた松平の前に現れたのは、大阪国総理大臣を名乗る男だった―――。
久々に駄作中の駄作を見た!
とりあえず、制作会社にしろ、配給会社にしろ、よくこの脚本でGOサインを出したなぁ・・・と違う意味で感心してしまう脚本だ。
まずタイトルにもなっているお姫様が話の本筋にまったく絡んでこない。というか、お姫様である必要性がまったくない。武家の末裔というのが最も肝心な設定のはずなのだが、なぜ、プリンスじゃなく、プリンセスなのか?武家の末裔であれば、女の子ではなく、男の子を求めるのが武士の家系ではないのだろうか?と思うのだが、そこに関する説明はゼロ・・・。
それ以上に豊臣家の末裔が存在している意味がない。この作品では豊臣家の存在=大阪国成立の大前提となっているのだが、そこに豊臣家でなければならない関連性が薄い。極論、織田家でも、徳川家でも良い・・・。どうせなら天皇家の裏分家みたいな設定のほうが面白かったのではないだろうか?
また日本国から大阪国に補助金として5億円が流れているというのが話のひとつのきっかけになるのだが、日本の国家予算何十兆円の内、補助金5億円て、大阪国どんだけ小さいねん!それで国が成り立つのか?大企業の年間予算にも満たないし・・・。その5億の使い道も描いてない。てか、大阪府の予算の何パーセントだ?
また脚本に無理がありすぎる。
大阪の市民、府民(=大阪国民)なら全員が知っている設定なのに、大阪国以外の人間は誰一人その存在を知らないなんて、今この現代では成立し得ない。100%インターネット上で漏洩している。せめて時代設定をインターネットのない時代、例えば昭和初期とかにしてくれれば良いのに、新幹線と富士山のシーンを入れたかったのか、無駄に時代を現代にしてしまったのはマイナス。
またそもそも綾瀬はるか演じる鳥居の存在意義もない。
ミラクル鳥居というニックネームをもったいぶって何度も繰り返し登場させている割には何のミラクルも起こらない(唯一が偶然立ち聞きしたことで時間が10分短縮されたことか?)。もしかすると、原作はもっと丁寧なキャラクター描写があって、作品全体として矛盾のないストーリーになっているのかもしれないが、この映画見て原作を読みたいとは絶対に思わない・・・。
旭が作品中で何度も松平が鳥居と一緒に行動しているのか?を聞く場面があるが、その答えも開示されない。しかも見終わった後に、開示されないことに対して、何の不満も覚えないという違う意味でのスゴ技を成し遂げている・・・。
そして監督の手腕も疑わしい・・・。
まず、180度ラインという映画撮影における基本中の基本(あえてそれを逆手にとる作品もある・・・)を超えて、あらゆる角度から役者を撮影して、見る側の感情を無駄に不快にさせている(それを何らかの意図を持って、狙ってやっているわけではない・・・と思う)。
さらに無駄なモンタージュを多数使っている点も気になる。例えば、鳥居がたこ焼きを地面に落として、それと同時に大阪国の国会議事堂にいた松平が屋上を見上げるシーン。一体何をしたいんだ!?
といった感じで監督の無駄な演出が作品全体の統一感をなくしているし、不要な描写が多いため、テンポも悪い。
といった感じで、シンプルにまとめるなら、"駄作"の一言です。