星になった少年
採点:★★★★★★☆☆☆☆
2005年8月22日(映画館)
主演:柳楽 優弥、常盤 貴子
監督:河毛 俊作

CMでやっていた鑑賞後の感想と、口コミで広がってきた噂が非常にハイレベルだったので、見に行った作品。

テツは田舎にある動物プロダクションに住む中学生。再婚した母親と共に住み着くことになったが、継父のいきあたりばったりのやり方のため、生活は決して楽ではなく、テツの母が、なんとかプロダクションの経営を支えていた。そんなある日、母は一大決心をし、ゾウを買うことに・・・。
やがて、テツたちのもとに最初の一頭のゾウ、"ミッキー"がやって来る。続いてCM出演のための子ゾウ"ランディ"がやってきて、テツはタイで基本的な訓練を受けてから日本に来た“ミッキー”は、すぐにテツの指示通りに動いたが、そういった訓練をうけていない子ゾウのランディは、なかなかテツの言うことをきかなかった。落ち込んでいるテツに、サファリパークでゾウの飼育係をしている岩本が、タイのゾウ使いの話を聞き、タイのゾウ学校に留学したいと言い出す。最初は反対していた母も同意し、テツはタイへ。
タイのゾウ学校でテツは初めての外国人生徒であり、最初は言葉も通じず、ゾウたちもなかなかいうことをきいてくれない。しかし、くじけることなく努力し続けた結果、仲間たちも認めるゾウ使いとなっていく。
ゾウ使いとなり、帰国したテツは、ランディの訓練にとりかかる。最初ランディはテツの指示に従わなかったが、ミッキーの助けも得て、ランディはテツの指示を理解するようになっていく。そして高校生になったテツは、ランディたちと全国のイベントを飛び回るようになっていた。
あるパレードの会場で、動物好きの絵美と出逢う。一方、プロダクションでは日本初の「ゾウさんショー」の準備が進んでいた。そしてついにゾウさんショーの幕が開く―――。

評判以上に良い映画だった。やはり動物ものというのは感動できる。しかも実話だというから、よりいっそう感動が増す。
まずはタイロケ。タイでの2年間に及ぶゾウ学校での生活を現地で撮影したようだが、今までに日本の映画で、しかもこの類の映画でここまでした映画があっただろうか?
何をおいても、ゾウ学校での生活描写は触れないわけにはいかない。というのも、ここで味わった屈辱をバネにテツはゾウ使い、そして人間として成長していくのだから。最初は食べられなかったトカゲの丸焼きも最後は美味しいと言いながら食べてしまう。
そしてファー(ゾウ学校でテツが受け持った小ゾウ)と打ち解けたシーン。命がけでファーを探し、ファーに助けられた命。そうして築いた絆が卒業という形で離れていくシーンでは涙がこぼれた。

そしてタイトルを見れば誰もが連想するであろうが、テツはあるタイミングで死んでしまう。その直後の葬式のシーンで涙を流した直後、テツの彼女(?)がテツの母を訪ねてきて、テツがゾウを好きになった理由を母親に教える。それを聞いた母親が号泣をするシーンでもまた涙。そして再びタイに戻り、テツが生まれ変わった(はず?の)ゾウとファーが並んで歩くシーンでまた涙。
涙の三段落ちだ。

その涙の最大の要因はストーリー性にあるのだろうが、忘れてはいけないのが、坂本龍一の音楽。以前にアカデミー賞を獲得しているのは知っていたが、今回、この作品を見て、彼の音楽の素晴らしさを初めて実感できた。
とはいえ、映画前半はよくある音楽だなぁと思っていたのだが、物語が佳境に迫るにつれて彼の音楽が魅力的に変わっていく。そしてラストシーン。彼の音楽でなければ、そこまで泣けなかったかもしれないくらいに音楽が盛り上げてくれた。

先日の「皇帝ペンギン」と並び、この夏の大穴作品となった作品でした。

一口コメント:
文部省推薦の冠をいただける感動的動物作品です。

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