戦国自衛隊 1549
採点:★★★★☆☆☆☆☆☆
2005年6月25日(映画館)
主演:江口 洋介、鹿賀 丈史
監督:手塚 昌明

映画館で見た予告編が面白そうだったので見に行った作品。

的場率いる陸上自衛隊の一隊が、偶然の事故で460年前の戦国時代にタイムスリップしてしまった。やがて、過去への過干渉が原因と思われる虚数空間「ホール」が日本各地に出現。「ホール」は次第に成長し、現代の日本をじわじわと侵蝕し始めていた。
かつて的場が創設した特殊部隊Fユニットの一員でありながら、今は居酒屋の雇われ店長の鹿島は、ある晩、店に訪れたタイムスリップした際の現場責任者である神崎の口からその真相を聞かされ、的場たちを救い、現代の消失を食い止めるために、二度目のタイムスリップを試みる。
最初と同じ状況を作り出し、今度は意図的にタイムスリップを引き起こすのだ。制限時間は74時間26分―――それを過ぎると二度と現代に戻ることはできない。鹿島の参加を快く思わない隊長の森3佐、過去からやってきた侍、七兵衛をはじめ、神崎たちロメオ隊の面々と合流した鹿島は、このミッションに旅立った。
戦国時代にたどり着いたロメオ隊。しかしそこで鹿島たちを待っていたのは、織田信長を殺害した後、織田に成り代わった的場だった。的場率いる偽織田軍によって、次々に仲間を失っていく。的場への想いを胸に秘めた神崎、主君のために鹿島たちを裏切らざるを得なくなる七兵衛。敵と味方の事情が複雑に入り混じる中、歴史には存在しない城・天母城で的場と対面する鹿島。そして鹿島は富士山を爆破し、歴史を根本から変えようとしている的場の計画を知る―――。

最初に予告編を見た時に、戦国時代の武士と自衛隊の戦車やヘリが戦っている異様さに興味を持った。"自衛隊が戦国時代にタイムスリップする"このアイデアを素直に面白いと思った。
がしかし、冒頭いきなりタイムスリップのシーンで始まったと思ったら、すぐさま鹿島を迎えにいくという突拍子的な展開。なぜ鹿島を迎えにいったのかという説明があるにはある(的場の作った訓練用プログラムを唯一クリアした男という理由)のだが、あまりにもすんなりとしていて、ストーリー展開としては感情移入できない。
最初は頑なに拒否していた鹿島も過去からやってきた侍に簡単に説得されてしまうし、鈴木京香演じる神崎は台詞棒読みって感じが漂っているし、役者的にも感情移入できない。

演出的には、自衛隊全面協力ということもあって、戦車やヘリなどの映像は今までの日本映画にはない迫力が見られはしたものの、ハリウッド映画に比べると見劣りしてしまう事実は否めない。
そしてあまりにもチープなCGが一箇所あった。それは石油精製設備の煙突にヘリが衝突した直後、煙突が倒れなきゃいけない場面で煙突が倒れない。煙突の前に煙を張ってごまかしてはいたが、かなりの制作費(15億円らしい)をかけておいて、そこは直さないのか!?と思ってしまった。

映像の綺麗さもなぜか粗さが目立った。万博でSuper Hi Visionなる綺麗な映像を見た直後だったせいかもしれないが、きめが粗い映像に見えた。特に過去の回想シーンはわざとぼかしをいれて、画質を悪くしているのはわかるのだが、画質を悪くする以外にも過去の回想シーンだとわからせる方法はいくらでもあるし、それ以前に現代の映像の画質が悪い上に更に過去の画質を悪くしてどうするんだ?と思わずにはいられなかった。

アイデアそのものは悪くはないのだが、ストーリー展開、演技、演出、そして映像美においては15億円という巨額を投入したとは思えない仕上がりだった。

一口コメント:
アイデアonlyの映画。それ以外はストーリー、演技、演出、映像美と、逆の意味で四拍子揃った作品です。

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