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織田裕二2年半ぶりの主演映画、日中韓合作映画、アジアの映画としては他に類を見ない制作費、この作品の製作が決まった時から心待ちにしていた作品が遂に公開されました!!
世界を股に掛ける詐欺師伊沢は上海の武器商人から金を騙し取り、殺し屋に追われる羽目になる。そんな伊沢に、命を守る変わりに革命を手伝って欲しいと革命家、関が話を持ちかけてくる。「俺は所詮三流のペテン師なんだ。革命なんて荷が重過ぎる」と話を断ろうとするが、「断ったらお前の命はない。俺がお前を殺す」という関の言葉に従う。
関の持ちかけた話は日本陸軍の東中将を騙し、革命に必要な大量の武器を手に入れることだった。陸軍でもエリートの東を相手にした伊沢だが、「こいつには踊らせるネタが何もない」と諦めかけるが、関や詐欺仲間の陳達の熱い思いに動かされ、たった一枚のカードに運命を委ねることを決心し、東をはめるために日本に向かう。
陸軍士官学校に留学中の清朝の皇族、東の恩師からの手紙、東の愛犬シェパード。これらを武器に東を騙し、上海に武器を輸送することを約束させた。
しかし事態は上海で急転する。東が「今度は貴様が踊る番だ」と、伊沢を利用しようとする。そして最後の大ペテンを仕掛けることになる・・・。
この映画を観ていて一つだけ腑に落ちない点があった。それは殺し屋。殺し屋の割には少しドジというか、情けないというか、殺し屋の迫力とか殺気といったものが感じられなかった。そのためにいまいち緊迫感が欠けていたように思う。しかし、伊沢が殺し屋から逃げおおせた最後のシーンはペテン師らしい、うまい切り抜け方だった。
全体を通して見ると、「交渉人」のような頭脳戦、伊沢vs東の駆け引きが非常に面白く、更に「スティング」のようにあっと言わせるペテンのテクニックに興奮させられる。
100年前の上海の街並みを再現したり、大量のエキストラを動員したりと、今までの日本映画にはなかったスケール感も素晴らしい。これは一重に日中韓合作のおかげだろう。(日本映画で1000人近いエキストラを動員することなど、とてもできないだろう。)
新しい娯楽エンタテイメント大作と呼べるのではないだろうか?
また「やばくなったらさっさと逃げる」「ペテン師は仕事に命をかけない」を信条とする主人公がやばい状況で命をかけて、仲間のためにペテンを仕掛けるという設定が男の友情的なものをかもし出しており、単なる娯楽作品としてだけでなく、人間ドラマとしての要素も成り立っている。
今年は夏に「踊る大捜査線」の続編も公開されるし、海外からの出演オファーもいくつか来ているらしいし、日本映画は織田裕二、一色に染まってしまうのではないだろうか?