1リットルの涙 |
沢尻エリカ主演のTVドラマによって、その存在を知った映画。ドラマを見た時から見てみたいと思っていたが、ようやく見ることができた。
亜也は中学3年の時、脊髄小脳変性症という難病にかかってしまう。バランスをとり、素早い滑らかな動きをするのに必要な神経細胞が変化し、ついには消滅してしまう病で、原因が不明のため治すことができない。
それでも亜也は進学校に入学、友達に助けられながら学校生活を送っていた。しかし担任の先生が自宅を訪れ、養護学校への転校を進められてしまう。
養護学校を卒業し、リハビリ生活を送る亜也だったが、徐々に病気が進行し、とうとう自力で歩くことすらできなくなってしまう―――。
号泣です。
ドラマを見ていたので、話の筋は知っているはずなのだが、それでも涙が止まりませんでした。ドラマと大きく違うのは同級生の恋人がいないことだが、それによるマイナス面は特にない。
この映画もジャンルわけをすれば、間違いなくヒューマン・ドラマであり、決してドキュメンタリーなどではない。にも関わらず、ドキュメンタリーを見ているような感覚に陥ってしまう。それは良い意味で心理描写が少なく、主役の亜也の人生を側にいて見守っているかのうような感覚になれるからだと思う。
通常、映画やTVドラマというのは主人公にいかに感情移入できるか?というのが、その作品を好きになれるかどうかの大きな割合を占めるのだが、ドキュメンタリーの場合はそうでない。それがこの作品に関しては大きくプラスに働いている。
またもう1つの大きな要素が主役の大西麻恵。TVドラマで主役を演じた沢尻エリカもなかなかの好演だったのだが、それがかすんで見えるほどの熱演!時間を経るごとにゆっくりになるしゃべり方、歩き方、手の動き、顔の表情。どれも演技とは思えないほど、リアリティがある。極めつけは麻痺してしまった唇。演技でここまでできるのか!?と目を疑ってしまった。
そんな次第に蝕まれていく体を表現しながらも、目の輝きだけは色褪せない。どんなに体が弱まろうとも、"生きるんだ!"という強い意志だけは目に残している。
また、亜也が研修医に淡い恋心を抱き、担当医「先生、私・・・結婚できる?」と聞くシーンなど、この彼女の演技があってこそ、ドキュメンタリーを見ているのか?と錯覚してしまうくらいのインパクトを与えてくれる。
それと脇役の役者たちも好演している。母親役のかとうかずこはもちろんだが、個人的にはパン屋のおばちゃんが、好きだ。
難点をあげるとすれば、低予算であるが故の画質、カメラワーク、そして音楽。この3点だけは気にならなくはないが、そんなものはどうでも良いくらいに物語に引き込まれてしまった。
さて、この作品は実際にこの病気を患った人の日記を元に出版された原作を元にしていることもあって、心の奥底に響く言葉が多い。
例えば、「耐えておくれ、私の涙腺よ!」、「おかあさん、まだ生きたい・・・」、「不幸なんかじゃない、不便なだけだ」といった感じだ。
そして、映画の中にタイトルにもなっている言葉を使った名言があります。
「私は高校を去ります・・・なんて格好良いことが言えるようになるには"1リットルの涙"が必要だった・・・。」
この映画を見るにはそれ位の涙が必要かもしれません・・・。