ホワイトアウト |
「踊る大捜査線」の織田裕二、「リング」の松嶋菜々子、この2人が組んだ、それだけでも十分に観客を呼べる映画になるだろうが、原作は80万部を超えたベスト・セラー小説ということで、いやがうえにも期待は高まった、そして結論から言えば、満足のいく作品だ。結局2回も映画館に足を運んでしまったほどだ。
ストーリーは日本最大の奥遠和ダムが舞台となる。ダムの職員、富樫と吉岡は遭難者を助けるため、猛吹雪の中を出発したが、翌朝遭難者は救出され、吉岡は死体となって発見される。
2ヵ月後、このダムをテロリストが占拠し、ダムの職員を人質にして24時間以内に50億円の支払いを要求する。そこには死んだ吉岡の恋人千晶もいた。要求に答えなければダムは破壊され、下流の20万世帯は一瞬で飲み込まれてしまう。
難を逃れた唯一の人間、それが富樫だった。富樫は1人で、テロリスト達に立ち向かう。最初は所々に弱い部分を見せていたが、次第に強くなっていく。この辺りの織田裕二の演技はうまい。
一方テロリスト達は警察との取引をしながら、富樫を殺そうとして、いろいろな手を打ってくる。なんとかそれを乗り越えた富樫は、何キロも離れた隣のダムに辿り着く。そこで警察署長と無線でやり取りをするが、このシーンが泣ける。死んだ吉岡との約束がキーワードとなり、男の友情とはなんたるかを無線を通したやり取りで描いている。
そして吹雪の中、約束を果たすために奥遠和に戻った富樫は残ったテロリストを1人ずつ、倒していく。テロリストは2重、3重の罠を張り巡らしていた。この罠にはやられた!と思わずにはいられない。そしてラストシーンへと物語りは進んでいく。結末はぜひ映画を見てください。
面白い話がある。主演の織田裕二は発売直後にこの映画の原作を読み、映画化を希望した。この映画の事実上の出発点はここにあるといっても過言ではない。映画化を希望した理由は自分がこの映画を見たいからという単純な理由。映画化に際して、脚本は原作者、真保裕一が映画用に脚本を書き直した。原作にはない見所としては、吉岡が恋人千晶のために持っていた磁石。それを友達である富樫が千晶に渡すために・・・という部分。これがこの映画により一層深みを持たせている。
ハリウッドの娯楽作品にも引けを取らない、アクション大作。日本版ダイ・ハードといったところかな?しかも、ダイ・ハードよりもテロリストの罠に深みがあり、人間描写にも深みがあり、自分としては本場アメリカの「ダイ・ハード」よりも、この日本版「ダイ・ハード」である、「ホワイト・アウト」をお勧めしたい。