ダイ・ハード4.0
Live Free or Die Hard
採点:★★★★★★★★☆☆
2007年6月26日(試写会)
主演:ブルース・ウィリス
監督:レン・ワイズマン

ダイハード」シリーズ第4弾。1995年のパート3以来12年ぶりの今作。予告編を見る限りでは、個人的にも世間的にも大不評だったパート3を明らかに超えていると思い、この夏公開の決まっていた続編ものの中では最も期待していた作品でもある。

サイバー・テロ組織によって、アメリカの都市機能がすべて制御されてしまうという非常事態が発生。ハッカーたちの手を借りながら、それに立ち向かうジョン・マクレーン刑事。テロは交通機関のジャック、ガスなどのライフラインのジャック、そして最後に金融機関のジャックという3段階を経て進んでいく。その戦略は順調に進んでいくのだが、1つ1つの段階でジョンがテロリスト達の作戦を阻止しようと立ちはだかる――-。

見終わった直後の感想、"メチャクチャ面白い!!"。
いや、本当にめちゃくちゃ面白い。アパートの中で銃撃戦を繰り広げたり、車を弾代わりにヘリコプターを撃墜したり、エレベーターの中で危機一髪の落下戦を繰り広げたり、ガス爆発に巻き込まれたり、戦闘機に追い回されたり、とにかくこれ以上のアクションはないだろう?というくらいの激アクションが満載だ!!。
ただしちょっと"やりすぎ"な感じがあるのは否めないのも事実だが、それでも「ダイ・ハード」だから許せるというシリーズものの利点のようなものがあるのも間違いない。
シリーズものという点では、家族を愛する男(以前は妻、今作では娘)という設定、また一連の事件の最中にパートーナーがいるという設定は継続されているものの、それ以外の点で継続されている設定はあまりない。例えば1と2のクリスマス休暇中に事件に巻き込まれるという設定だったり、どこにでもいる普通の刑事が仕方なく事件に巻き込まれてしまう設定、そしてこのシリーズのシリーズものたる最大の設定でもある生身の体で痛みを伴いながら傷ついていく弱い人間という設定などは消えてしまっている。
今回は脚本を公開に合わせたのか、公開を脚本に合わせたのかはわからないが、作品の中では独立記念日近くの設定になっているし、今回のテロに関しては、仕方なく巻き込まれたというよりは自分から進んでテロ壊滅に向かっていった感じが強い。
そして生身の弱い人間という設定はもう微塵もない。タイトル通りの不死身の人間になっている。「世界一ついてない男」と宣伝をされているが、「世界一ついてる男」じゃない限り、最初のアクションシーンで死んでいるはずだ!ってくらい、何度も死んでもおかしくない危機的状況に巻き込まれる。要するにシリーズの売りであった生身の"弱い"人間という設定が、アクション・ヒーローのような"不死身"の男という設定に変わっているということだ。(敵も同様でヘリコプターから落下しても死なないのだが・・・)
この設定変更を受け入れられなかったり、単純なアクション映画ではなく、ドラマなどの設定を含めた「ダイ・ハード」の続編を期待している人にはそういった設定の欠如で、落胆する可能性が高い。
逆に単純にアクションだけを追求するなら、シリーズ最高傑作だと言えるし、アクション映画史上に残る名場面が満載だといっても過言ではない。(上述したようにやや"やり過ぎ"の感じもあるが・・・)

ストーリーの構成としても、現代社会には欠かせないテクノロジーを元にしており、テロリストがやろうとしていたこと、また実際に用いた手段だけを扱ったサスペンス映画を作っても十分に面白いと思えるだけの内容のストーリーに仕上がっている。
バランス良く配置された登場人物の関係もうまい!デジタルとアナログ、軟弱者とタフガイ、頭脳派と肉体派などといった感じで、様々に相対する要素を持ったマットとマクレーンという2人のキャラクター設定が作品をより面白くしている。
2人の絶妙な会話がとても面白く、洒落が効いてて楽しいし、ただの軟弱者かと思えば、なかなか機転の利く好青年でもあったりするし、シリーズ1、2の黒人警官とは一味違う素晴らしい"相棒"です。

また、シリーズ中の最も評価されているといっても過言ではないパート1のようなガラス破片の上を裸足で走るような痛々しさはないが、最後の敵を仕留める方法はそれを踏まえたジョンらしさというか、ダイハードらしさを垣間見ることができる終わり方であり、その点においても評価できる作品です。

さて、ビル→飛行場→NY市→アメリカ全土と舞台を拡げ続けているこのシリーズ。次の舞台は世界規模?あるいは宇宙空間か?

一口コメント:
アクションだけに関していえば、シリーズ最高傑作ですが、シリーズ全体の評価としては、2⇒1 or 4⇒3といった感じだろうか?

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