インディー・ジョーンズ/最後の聖戦
採点:★★★★★★★☆☆☆
2005年2月11日(DVD)
主演:ハリソン・フォード
監督:スティーブン・スピルバーグ

20世紀の映画界を代表する二人が手を組んだアドベンチャー・シリーズ第三弾にして、完結編と言われている(最近になって、パート4の制作の話が噂になっているので、なんともいえないが・・・)。

1912年、アメリカ、ユタ州。13歳の少年インディーは、3人の悪党が洞窟から金の十字架を盗もうとしているのを目撃し、それを奪い逃亡するが、結局悪党一味に奪われてしまう。しかし、彼の知恵と勇気を誉める悪党の1人からカウボーイ・ハットを受け取るのだった・・・。
26年後、大学の考古学教授になったインディーは、ウォルター・ドノヴァンに招かれ、キリストの血を受けた聖杯の発見を依頼される。最初は断った彼だったが、元の責任者で、行方不明になったのが父ヘンリーであることを知り、それを引き受ける。
父の旧友マーカスと共に父の家に向かったインディーは、家が何者かによって荒らされているのを発見し、ヴェニスで父の同僚シュナイダー博士と合流し、古い教会を改装した図書館を訪問、父が自分に送った聖杯に関する手帳のおかげで図書館の地下にある墓地を発見し、聖杯のありかの手がかりをつかむ。
そしてインディーは、父がオーストリアとドイツの国境にある城に閉じこめられていることを知り、シュナイダーと共に城に向かう。そこでインディーは、ナチも聖杯を探していることを知る。そしてシュナイダーの裏切りによってインディー親子は囚われの身になり、聖杯に関する手帳も奪われてしまう。
何とか城から脱出したインディーとヘンリーは、手帳を取り戻すため、ドイツへと向かい、シュナイダーから手帳を取り戻し、飛行船に乗ってドイツを脱出する。そして舞台は聖杯が眠る神殿へ―――。

パート1に引き続き、ナチスが登場し、インディーと対決する構図、そしてこのシリーズの特徴である床一面を覆いつくす生物としてネズミが登場し、これまたお決まりのその床の上を女性が歩くというシーン、シリーズものとして、前作の特徴を見事に活かしている。
そしてパワー・アップという点から言えば、パート1では登場しなったナチスの総統ヒットラーが登場していたり(そのヒットラーにサインをもらうシーンはとても面白い)、コメディー的要素もインディー一人ではなく、父親が登場したことで、パワーアップしている(むしろ父親の方がコメディー色が強いか?)。たとえば、城に囚われた状況でインディーのポケットから取り出したライターでロープを焼き切ろうとしたのが、部屋を燃やす火事に発展したり、飛行船から逃げるために乗り込んだセスナのマシンガンで、セスナの尾翼を撃ち抜いたり・・・、本当にまぁいろいろなことをやってくれます。

またシリーズ完結編という意味でいえば、子供時代のインディーが登場し、その頃から蛇が嫌いだったとか、その頃から冒険好きだったという背景を紹介していたり、父親を登場させ、父親は"蛇"ではなく、"ネズミ"が嫌いという親子ならではの関係、個性を描いている点も面白い。
中でも、ドイツ軍の戦闘機が親子を追ってくる中、海岸で傘を使って、鳩を飛ばし、戦闘機を撃墜した父親を見て、微笑むインディーの顔は"やはり自分は彼の血を引いているんだなぁ"と感じているようで、その直前に飛行船の中で話していた内容(何十年も話していなかった)を踏まえた上で、いくら仲たがいしていても、やっぱり親子は親子だということを笑いの中にうまく表現していると思う。

しかし、パート1やパート2に比べると、"ジェット・コースター・ムービー"と呼ぶには物足りない感じがするのも事実。次から次へと困難がやってきて、それを乗り越えていくインディー、といったイメージを持って、この作品を見るとトーンダウンしてしまうかもしれないが、その分上述したような親子関係だとか、人間ドラマの部分の要素が濃くなっていると言える。

またシリーズ全部を通して言えることだが、毎回ヒロインが変わるのは許せるとしても、毎回毎回、わけもわからない内にヒロインとインディーが惹かれあっていくのはスピルバーグの恋愛描写の苦手さを如実に表している。このあたりの描写がもっとうまく描かれていれば、さらに一段上の作品に仕上がっていただろう。

最後の神殿での3つの試練。これは今冷静に見ると幼稚といえるかもしれないが、子供の頃にTVで見たときの印象が残っていて、冒険活劇映画としてはこのレベルの謎解きでちょうど良かったのだろうとも思う。また聖杯を守る3兄弟の生き残りが最後の部屋にいたのも、今見るとちょっとファンタジー的な匂いがして、作品の色を濁してしまいそうだが、聖杯の不老不死伝説を間接的に体現していると考えれば、それはそれでありかなと納得させられてしまった。

上にも書いたが、これでシリーズは完結だと思っていたら、近年になってパート4の制作が噂になり、しかも主役はハリソン・フォードだということで、いやがうえにも期待が高まる。しかも当時ではありえなかったであろうCGを使った描写を考えると、さらに期待は高まる。久しぶりに大衆娯楽映画らしい、大衆娯楽が見れると思うと本当に楽しみ。スピルバーグ監督、上質のエンターテイメント映画を期待してます。

一口コメント:
シリーズ完結編という位置づけとしては合格点の作品ですが、"ジェット・コースター・ムービー"完結編という観点から見ると、今ひとつかもしれません。

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