キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン |
スピルバーグとトム・ハンクスとディカプリオがチームを組んだ。これだけでもニュースになるのに、その映画は実在の詐欺師の実在の物語を描いたというわけで、アメリカでは公開前から、かなり話題になっていた作品。
主人公フランクは事業に失敗した父と共に質素なアパートに移り住んだ。父親は厳しい財政の中からフランクに小切手を渡す。母は愛想をつかして、両親は離婚することに。父と母どちらと暮らすかという究極の選択を迫られたフランクは家を飛び出し、駅へ向かった。
小切手を使いきったフランクは小切手を偽造することを思いつく。街中の視線を集めながら歩く制服姿のパイロットを見て、あることを思いつく。学生新聞の取材と称し、航空会社に潜入し、航空業界の仕組みを聞き出し、制服も入手する。更に免許証の生年月日も偽造し、16歳の高校生が26歳のパイロットへと変身を遂げた。
世界中を飛び回り、その後も医者や弁護士などに扮し、偽の小切手を現金へと変えていく。偽造小切手が出回っていることに気付いたFBI捜査官カールはフランクを追っかけて、全米中を駆け回る。いつもあと一歩のところまで追い詰めながら、いま一歩のところで逃げられてしまうカール。そして舞台はアメリカを飛び出し、ヨーロッパへ。ヨーロッパでも偽造小切手を使い、多額の現金を手に入れていたフランクだが、クリスマス・イブの夜ついにカールが訪ねてくる・・・。
詐欺師という職業のためか、非常に華やかな作品に仕上がっている。ディカプリオも高校生、パイロット、医者、弁護士と演じているため非常に華やかな役所を演じている。しかもそれぞれの役柄をうまく演じ分けながらも、父親への愛情を抱えた少年の心理もうまく演じている。
もう一方のトム・ハンクスは対照的な役柄を演じている。服はいつもスーツであり、捜査をしていく中で、子供に対する父親の愛情のようなものをフランクに感じていく様を絶妙にかもし出している。
キャストの豪華さやパイロット、医者、弁護士などの派手な職業に隠れてしまいそうだが、脚本の内容も非常に素晴らしい。フランクが時々見せる父親への愛情、あるいは家族愛への飢えにも似た感情を通して人間ドラマとしても成り立っている。パイロットや医者を演じていても、実際は16歳の高校生であり、家族への愛に飢えているのだということをうまく描いている。このあたりは「E.T.」や「A.I.」などでも、子供の心理をうまく映像化していたスピルバーグならでは、といえるのではないだろうか?
しかし今までのスピルバーグとは明らかにことなる点もある。その典型的なものがオープニングである。この物語の舞台でもある60年代をなんとなく感じさせるコミカルな漫画のようなオープニングである。ちょっとした「トムとジェリー」のような感じとでもいえばわかってもらえるだろうか?
またスピルバーグといえば、早撮りで有名だが、この作品を56日間で撮り終えてしまったらしい。56日間で140ヶ所のロケ地をまわったらしい。1日で2ヶ所以上まわっていることになる。信じられない嘘のような実話です。
またこの映画の内容も嘘のような実話であるが、もうひとつ嘘のような実話がある。この映画の主人公は、現在FBIで偽造文書の権威として活躍している、とのことです。