ミスティック・リバー
採点:★★★★★★★★☆☆
2004年1月17日(映画館)
主演:ショーン・ペン、ケビン・ベーコン、ティム・ロビンス
監督:クリント・イーストウッド

"もうひとつの「スタンド・バイ・ミー」"という文句で宣伝をしていた作品で、監督が自分の好きなクリント・イーストウッドということで、かなり期待していた作品。

少年時代をともに過ごした幼なじみジミー、ショーン、デイブの3人はいつものように路上で遊んでいたが、警官を思わせる男が近づいてきてデイブだけを車に乗せて走り去った。デイブが戻ってきたのはそれから4日後。その日を境に、3人は離れ離れになっていった。
それから25年。それぞれの心に傷を抱えて、3人は別々の道を歩んでいた。
一度は犯罪者となったが、服役中に妻を亡くし、残された幼い娘のために更生を誓ったジミー。
刑事となり、犯罪者を捕まえてきたショーン。
そして質素で平凡な家庭を持ち、ひとり息子を可愛がるデイブ。
そんな3人を25年ぶりに結びつけたのは殺人事件だった。
ジミーの最愛の娘が殺害され、その捜査をショーンが担当することになった。そしてその容疑者としてデイブが浮かび上がってきたのだった。
殺された娘の父親と、刑事、そして容疑者―――。
かつての幼なじみが果たしたあまりにも過酷な再会。

この作品をジャンル分けするとしたら、本来"男の友情"ではなく、"男の絆"とするべきなのかもしれない。
やや強引かもしれないが、この映画を見て共感できるのはおそらく男性、しかも幼少時代に悪友のいた男性に限られるのではないかと思う。もしくは"恋人"と"友人"といずれを取るか?というおなじみの質問に対して、"友人!"と答えられる人に限られるのではないか?
この作品の中にそのような選択が登場するわけではないし、むしろ逆の設定(最後にショーンの妻がいう台詞など典型的な例である)が登場したりもするのだが、その根底にあるのは幼少時代に一緒に悪さをした思い出であり、日本的にいうなら友人以外には、親などにも秘密(たいていはばれていたが・・・)の秘密基地を作ったりしたような思い出なのだ。
故に、女性や一緒に悪さをした悪友のいなかった人は、この作品を見て頭の中に?が浮かぶ人が多いのではないかと思う。(実際、一緒に見た友人は頭の中が?だったらしい・・・)

個人的には見終わった直後、イーストウッド万歳!と心の中で叫んでいた。さすが渋い!!
冒頭の幼い頃に一緒に悪さをしていた場面が最後の最後まで深みを持つような描写といい、ラスト・シーンをショーンが思い出の場所で「逮捕したよ」とジミーに言う場面ではなく、パレードの最中に無言の演技で"男の絆"を表現した構成といい、そして何よりショーン・ペン、ケビン・ベーコン、ティム・ロビンスの3人をキャスティングした手腕といい、何もかもが素晴らしい。俳優イースト・ウッドも素晴らしいのだが、監督イーストウッドもやはり素晴らしいのだ。

最後のパレ―ドのシーンでショーンとジミーがジェスチャーのみ(ジミーが銃を構えて撃つ振りをするが、それに対し、両肩をすくめて両手を広げるショーン)の無言で交わすコンタクト、このシーンをいかに解釈するかが、この作品の感想そのものにつながるのではないかと思う。

一口コメント:
文字通り、"アカデミー賞監督賞受賞"イーストウッド作品です!!

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