遠い空の向こうに
採点:★★★★★★★★★★
2000年4月18日(映画館)
主演:ジェイク・ギレンホール、ジョン・ヒッカム、ローラ・ダン
監督:ジョー・ジョンストン

この映画をはじめて見たのはカナダに向かう飛行機の中だった。飛行機の中で見れる映画というのは、日本ではまだ公開されていないものもある。この作品はまさしくそうだった。見た時に、まだ日本では上映されていないどころか、この映画のことは何も触れられていなかった。その時のタイトルは「October Sky」だったので、それを頼りにこの映画が日本で上映されるの楽しみに待っていたが、日本で上映されるまでそれから半年以上も待たなければならなかった。そこまで待ってでも観たい、そして一度観ているのにもかかわらず観たい、そう思えるほどこれは素晴らしい作品です。映画好きですと言うと、必ず一番好きな映画は何ですか?と聞かれる。一番を決めるのは難しい。ジャンルによっても違うし、同じジャンルでもその時の気分によって変わることもある。この映画を観るまではそう思っていた。しかし、この映画を観たあとは必ずこの作品が一番だ、と答えている。

スト―リーはソビエトが世界で初めて人工衛星スプートニクの打ち上げに成功したシーンから始まる。
アメリカの炭鉱の町に住む少年ホーマーは星空に軌跡を描きながら飛んでいくスプートニクを見て、自分でもロケットを打ち上げようと思い、仲間を誘ってロケットボーイズを結成する。そして周りからは白い目で見られながら、いろいろと失敗を繰り返していくうちに1人の理解者、物理の教師ライリーと出会う。ライリーの勧めで全米科学コンテストにも出場しようと決心する。
しかし、父親のジョンはロケットに対して理解を示さない。そんなある日炭鉱でジョンが怪我をしてしまう。そして、打ち上げに成功したが、近くで起きた山火事の原因がロケットだということで、警察沙汰になり、ロケットを断念ししていたホーマーが代わりに働くことになる。
そのまま高校を休んで炭鉱で働き続けるが、ライリーが不治の病だと知り、死と向き合いながら、夢を与えてくれたライリーに対して、簡単に諦めてしまった自分を反省し、再びロケット作りに取り組み始め、何度かの打ち上げ実験を成功させ、全米科学コンテストの地区代表に選ばれるが、ジョンは一度も打ち上げ実験に顔を出さなかった。コンテストにはロケットボーイズ全員が行けるはずだったが、お金が足りないということで、1人しかいけなくなる。そこで、友人たちはホーマーにその座を譲る。この時点でかなりアツイ涙が流れる。
そしてコンテストで優勝し、町に凱旋したホーマーがロケットを打ち上げる最後のシーンで、遂に父親が現れる。号泣!!そしてロケットは空高く高く、"遠い空の向こうに"飛んでいく・・・。

この物語では「男同士の友情」、「父親と息子」、そして「教師と生徒」の3つの人間関係を中心にして物語りは進んでいく。さらにそこに優秀な兄と出来損ないの弟、といった関係も絡んでくる。
弟の主人公は常に優秀な兄と比較されながら、ようやく自分のやりたいこと(ロケット)を見つけたのにそれに理解を示してくれず、自分と同じ道を進めと言う父。廃れていく産業とこれから先を担っていくであろう産業(炭鉱vsロケット)、新旧の対立が父親と息子を通して描かれている。父親の気持ちとしては、自分のプライドをかけてきた炭鉱夫としての仕事、まだこの先どうなるか分からない科学分野への不安もあって、息子に反対するのだろうが、息子としてはスプートニクを見た瞬間、これが自分の運命を変えるんだと思っている。そんな2人の対立がこの映画の中で、一番の見所だろう。
他にもロケットを断念した主人公を励ます友人たちや、父親の部下がロケット作りを手伝ってくれたり、教師ライリーとのやりとりなど、たくさんの見所がある。それらすべてが感動の1ピースになっていて、そしてそのピースが集まってこのような傑作が誕生したんだと思う。
もう1つ、付け加えておかなければいけないことがある。それはこの物語が実話だということです。

一口コメント:
友情、親子愛、師弟愛、すべて詰まった歴代NO.1
と自身を持ってお勧めできる最高の傑作です!!

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