ショーシャンクの空に
採点:★★★★★★★★★☆
2005年2月13日(DVD)
1997年12月6日(ビデオ)
主演:ティム・ロビンス、モーガン・フリーマン
監督:フランク・ダラボン
脚本:スティーブン・キング

多くの映画がある中で各種雑誌のアンケートで21世紀に残したい映画、あなたの思い出の名作など、ありとあらゆるアンケートで必ずと言っていいほど、上位にランクしている映画。「グリーン・マイル」という映画と同じ監督、原作といえば、ある程度この映画がそれだけ多くの人に受け入れられている理由がわかってもらえるだろうか?

妻とその愛人を殺した罪で終身刑となった、銀行員の主人公アンディー。しかし、実際は無実であり、その無実の訴えも虚しくショーシャンク刑務所に収監されてしまう。刑務所の中では、囚人たちによって虐待を受けたり、銀行員という職業に目をつけられて、刑務所長の帳簿操作をさせられたり、想像を絶する仕打ちを受けながらも、いつか脱走をしようと心に誓い、それを希望にひどい仕打ちにも耐え、刑務所の中で友人も作り、逆境を切り抜けていく。中でも親友レッドとは多くの時間を過ごし、レッドが刑務所を出所することができた時には、必ず訪れて欲しい場所があると、二人は約束を交わす―――。

ブラッド・ピットが脚本を読み、脇役でもいいから出演したいという希望を出したという話もあり、それだけでもこの映画の良さがわかるのではないだろうか?結局はスケジュールの都合が合わず、ブラピは出演することはなかったが・・・。

この物語は、無実の主人公アンディーが絶望という名の刑務所の中で、いかにして"希望"というものを信じ、そしてそれを実現させていくか?という過程が描かれている。
たとえば、それは刑務所の中に図書館を開く話だったり、監視人の税金対策をして、仲間にビールをおごらせて、友情を築いていく過程だったり、そして何よりも小さなハンマーで20年近くかけて、掘り続けたトンネルが、この物語のキーワードでもある"希望"というものを象徴している。

物語の中盤でアンディーの無実を証言しうる若者が収容される。しかし、それを闇に葬るためにその若者を殺してしまう所長。さらに自分の私利私欲のためにアンディーに帳簿操作をさせたり、自分の都合で囚人を独房に入れたり、と見事なまでに敵役を演じている。こういったドラマというのは敵役がいかに憎まれるか?というのが、ドラマに対しての感情移入の度合いを決定するが、この作品における所長というのは、見事だ。

刑務所で50年暮らしていた老人が釈放されることになるものの、人生の半分以上という長い時間を過ごした刑務所から出所して得た生活は、何をしていいのかわからず、恐怖に怯えるだけの暮らしとなり、最後には自殺してしまう。
このストーリーによって、一箇所に長すぎること滞在してしまうと、他の場所で何をしてしまっていいのかわからなくなるという人間の心理的本質を描いている。無論、若ければ若いほど、環境が新しくなれば、それを"新鮮"と感じ、かつそれに適応していく能力も持ち合わせているが、この物語で描かれているように50年も刑務所で暮らした老人ではそれも難しい。
さらにこの老人の物語がこの作品の最後につながる伏線となっているのも見逃せない。小さなハンマーで掘ったら600年はかかるだろう?というさりげない台詞といい、それを隠すためのリタ・ヘイワースのポスターといい、そして所長の帳簿操作が、脱走後の生活を支えるための裏工作だったというプロットといい、すべてのサブ・ストーリーが無駄のない脚本というのを、まさにこの作品は示してくれている。

男の友情編というジャンルにこの映画を分類したのは主人公を演じるティム・ロビンスとその友人を演じるモーガン・フリーマンの友情があるから。刑務所の中で交わしたある日の約束を遠い未来で実現させてしまうラストシーン。青い海、青い空のように自分の心もどこまでも晴れ渡った傑作です。
涙を流す感動というよりは、心にもやがかかっているときにこの作品を見るとそのもやが綺麗に晴れる、そういう映画です。

一口コメント:
心の奥に訴えかける感動巨編!!心がスカッとする映画です。

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