スパイ・ゲーム
採点:★★★★★★★☆☆☆
2002年1月14日(映画館)
主演:ロバート・レッドフォード、ブラッド・ピット
監督:トニー・スコット

久しぶりに熱い男達の映画を見た、それがこの映画を観終わった後の感想。
中国蘇州の刑務所に救急車が駆けつける。白衣の男が3人刑務所内に入り、予防接種を施す。その内の一人、ビショップはCIAの工作員で、刑務所に捕らえられた囚人を救出に来たのだが、作戦は失敗に終わり、捕らえられてしまう。
CIAでのキャリアを終える最後の日、首都ワシントン、ミュアーはビショップが捕まったという電話を受け、CIA本部に駆けつけ、同僚からビショップに関する資料を求められ、ことの重大さを知る。秘書に資料の隠蔽を命じ、CIA幹部が集合している会議室に乗り込む。そこで幹部達から資料がないのなら話をしてくれと言われ、ミュアーがビショップとの今までを回想していく。
出会いはベトナムだった。数少ない会話の中からビショップの素質を見抜いたミュアーはスパイとしての技術を教え込む。しかし任務遂行のためには犠牲を厭わないミュアーのやり方に反感を覚えるビショップは、ある任務で捨て駒のように人を切り捨てたミュアーに対し、"彼らは人間だ!野球カードみたいにトレードできない・・・ゲームじゃないんだ!!"と言う。それに対し、"ゲームだ!"と言い放つミュアー。更に"お前が捕まっても俺はお前を助けない"と言ってのける。しかし二人の関係は師弟として絆を深めていく。ミュアーは書類に6通りもの誕生日を記入している(全て偽の日)にも関わらず、ビショップは本当の誕生日に彼にプレゼントを贈る。ここら辺のやりとりに男の友情のようなものを感じずにはいられない。
ベイルートである女性を愛したビショップは、その女性を敵国のスパイだと疑うミュアーの元を離れることを決める。この女性を助けにCIAの指示を無視して、映画の冒頭シーン、中国の刑務所に潜入するのだが・・・。
回想シーンの途中で何度か現在の場面に戻り、上層部の動きを察知し、大統領訪中直前という政治的事情からビショップは見殺しにされることを知る。そこでCIA幹部達をだまし、大統領の筆跡を盗み、CIAの衛星写真を使い、ありとあらゆる手段でビショップの救出に挑む。自分の引退後の生活のために蓄えていた全財産までも費やして、"お前が捕まっても俺はお前を助けない"と言ったビショップのために・・・。
CIAという特殊な職業の中で世代を超えた男の友情を描き、レッドフォードとブラピという新旧トップ俳優が共演するこの作品だが、レッドフォードとブラピと聞くと「リバー・ランズ・スルー・イット」を思い出す。まだ若いブラピの出世作であり、その監督がレッドフォードだった。それを機にプライベートでも師弟関係を築いていく。この映画の中でも師弟関係を築く二人がごく自然に見えるのも、そのせいかもしれない。
タイトルからしてアクション映画を思い描いていたが、実際は師弟関係、サスペンス的要素、そして男同士の厚い友情を描いた作品だった。レッドフォードの物静かな面持ちで、裏でものすごい駆け引きをしている役所がものすごく渋い。彼ならではの演技だろう。レッドフォードが""ならブラッド・ピットは""といった役所。レッドフォードが冷徹非常な男を演じる一方で、ブラピは感情的な若い男を演じている。普通に考えれば、ブラピの役に共感を覚えるはずだが、なぜかレッドフォードの影のある演技に引き込まれていった。
そして囚われの身のビショップを救出する作戦の名前を"Dinner Out"と名付け、CIA幹部には妻とのディナー外出だと思わせ、ビショップはその作戦名を聞き、ミュアーが自分を助けてくれたことに気付き、男泣きする。それを見て自分の目にも涙が押し寄せてきた。

一口コメント:
タイトルからは想像できない男の友情を描いた作品です。

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