採点:★★★★★★☆☆☆☆
2002年11月8日(映画館)
主演:ナオミ・ワッツ
監督:ゴア・ヴァービンスキー

1998年日本ホラー映画のブームを作るきっかけとなった作品がハリウッドでリメイクされる!というニュースを聞いて以来、ずっと公開を待っていた作品。
アメリカのホラー映画というと、「スクリーム」に代表されるジェット・コースター・ムービーと呼ばれる作品が流行っており、この「リング」のリメイクもそういった脚色をされるのかと思っていたが、見事に期待を裏切ってくれた。
"日本版「リング」のリメイク"、まさにその通りで日本版を忠実に再現しており、山村志津子・貞子の親子もアンナ・モーガン、サマラ親子となって甦り、長く濡れた髪で井戸から這い出してくる貞子の映像もそのままサマラに受け継がれ、大島やビデオを発見する山荘、貞子のいる井戸も場所をシアトルに変えただけで内容はそのまま受け継がれている。
松嶋菜々子の演じた役をナオミ・ワッツが演じており、このナオミ・ワッツが非常に良かった。死に追われる一人のか弱い女性でありながら、愛する息子を守る強い女性でもあるという役柄をうまく演じていたと思う。しかし、子役のデイビット・ドーフマンがいまいちしっくり来なかった。この子役の顔がすでに怖くて、子役がスクリーンに映ることがすでに怖い。ホラー映画ということを考えれば、素晴らしいことなのだが、この作品に限っていえば、一番怖い顔が必要なのはサマラである。それなのに、サマラ以上に怖い顔をしている少年がいることで、サマラの恐怖が減少してしまっている気がした。
とはいえ、ビデオの恐怖はそのままに、いやハリウッドの技術を駆使した映像が日本版以上の恐怖を引き出しており、トータル的には日本版以上の恐怖を体感できる。
日本版と異なる点といえば、まず日本版が超能力として描いた貞子の恐怖を、アメリカ版は超能力という言葉を用いずに論理的に謎を解いていく。そのため、貞子の母、志津子の超能力実験のシーンがなくなっている。
逆にアメリカ版にしか存在しないのが、暴れ馬のシーン。ビデオに写っていた灯台のある島へと向かう船の中で突然馬が暴れだし、最後は自ら海に飛び込むというシーン。このシーンが唯一映像としての恐怖を味わえる場面でもある。それ以外は日本版と同様、心理的な恐怖を募らせる描写をしている。
"日本版とは異なるエンディング"とメディアでは取り上げられていたので、どんな終わりなのだろうと期待していたが、エンディングは日本版となんら変わりない終わり方で、同じ内容では見る人が減ってしまうため、それを防ぐための宣伝という"嘘"だったのだろう。
日本版を見た人にはそれほどでもないだろうが初めて見る人には今までのアメリカのホラー映画とは一線を隔すホラー映画という新鮮さを味わえる作品に仕上がっていると思います。
"恐怖"という観点から見れば、ストーリーを知っていることもあって、日本版を見たときのほうが恐怖を引きずっていましたが、両者を初めて見たとすれば、"超能力"を用いずに謎解きをしていったアメリカ版のほうが現実味があって、怖さをより身近に感じていたかもしれません。
一口コメント:
日本版を忠実に再現した新生アメリカ・ホラー映画です。
戻る