フォレスト・ガンプ
採点:★★★★★★★☆☆☆
2005年2月14日(DVD)
主演:トム・ハンクス
監督:ロバート・ゼメキス

フォレスト・ガンプは、母の女手一つで育てられた。母はフォレストのIQが人並み以下であろうとも、足が不自由であろうとも普通の子供として育てた。小学校に入り、ジェニーという友達ができる。ある日、同級生たちのいじめから逃げ出そうとしたのをきっかけに補助歩行器が取れ、すさまじい速度で駆けるようになる。
大学に入ったフォレストはアメリカン・フットボールのアメリカ代表に選ばれる。数年後、今度はベトナム戦争に出征する。彼の隊はジャングルで敵の攻撃を受けてしまう。フォレストは傷ついた仲間たちを安全な場所に運び出す。尊敬するダン大尉も助けるが、親友ババは彼の目の前で息を引き取る。
フォレストが大統領から栄誉勲章を送られた日、首都ワシントンでは平和大集会が開かれており、そこでジェニーと再会を果たす。だが、ヒッピー生活を送っていたジェニーはフォレストの告白を断り、去って行く。
戦争で負傷したお尻のケガの治療中に病院で卓球を覚えたフォレストは中国で開かれた世界選手権大会に出場。さらにジョン・レノンとテレビで共演するなど、たちまち有名人となり、ババとの約束であったエビ漁船を買う。そしてダン大尉を呼び寄せ、海に繰り出す。最初は全くダメだったが、やがて大漁となり、2人は大金持ちとなる。
母の最後を見届けに故郷に帰ったフォレストの前にジェニーが現れ、彼女は彼の告白を受け入れるが、翌朝、また1人で去って行ってしまう。残されたフォレストはある日、わけもなく駆け出し、3年間走り続けた。
3年という長い時間を走り終えた彼の元に一通の手紙が届く。それはジェニーからの手紙だった―――。

90年代半ばのアメリカの歴史を、ある一人の人物の生涯を通して、描いた作品ともいえる。ケネディーやニクソンといった大統領と握手をする機会があったり、ジョン・レノンとTVで共演したり、それをフォレストが普通のバス停で、特に誇張するわけでもなく、淡々と普通に話しているという設定がこの作品のミソである。
アメリカン・フットボールの代表になり、卓球の代表になり、数多くの有名人と共演し、といった感じで、これでもかという位にアメリカン・ドリームを叶えていくフォレストだが、本人はそれを偉業だと思うこともなく、淡々と日々の暮らしを送っている。これがこの作品を通して一貫している。物語としては"感動しろ!"と押し付けるようなストーリー構成であるにも関わらず、あくまでも淡々と進んでいくのだ。それは脚本の良さと、トム・ハンクスの演技力の賜物である。

時代を追うという意味では、ジェニーとダン大尉も時代を象徴するような存在といえる。
ジェニーは最初、ジョーン・バエズという有名人に憧れて、歌手を目指すが、その後、ヒッピーになり、麻薬に溺れて、最後は病気で死んでしまう。また、ダン大尉も、ベトナム戦争での癒えない痛みに苦悩し、アメリカが歴史上唯一敗れた戦争というものを象徴しているとも言える。

ドラマとしての構成がよくできているため、見落としがちだが、この作品の視覚効果はすごい(アカデミー賞においても視覚効果賞を獲得している)!たとえば、ケネディー大統領との握手シーン。たとえば、ジョン・レノンとのTV共演シーン。他にも実在した人物とのスクリーン上での共演はたくさんあるが、中でもケネディー大統領との握手シーンはすごい!ただ単純に共演しているのであれば、ブルー・スクリーンによる合成をこなせばいいだけだが、握手をするとなるとそうはいかない。というわけで、このシーンはそういうことも考えて見てもらえると、より楽しめるかもしれない。
また卓球シーンの合成や、オープニングとエンディングにおける羽根も見事だ。ただし、オープニングの羽根のシーン(5分もない・・・)だけで、日本映画なら、2、3本撮れてしまうだけの費用がかかっていると聞いたときは、そこまでしなくても・・・?と心の奥では思ったのも事実・・・。

わけもなく、ただ走りたいから・・・それだけで3年間も走り続けるフォレストだが、途中から、彼を教祖と崇める信者が彼についてくるようになる。このシーンを見て、母が何度も彼に言い聞かせた言葉が浮かんだ。

人生はチョコレートの箱。空けてみるまでわからない


この言葉よく考えてみると、この作品の中に詰まった全てのストーリーに当てはまる。それは"いじめ"という箱に詰まっていた"俊足"という名の"フットボール・アメリカ代表"味のチョコレートだったり、"戦争"という箱に詰まっていた"親友"や"尊敬できる人物"という名のチョコレートだったり、"負傷"という名の箱に詰まっていた"卓球アメリカ代表"という名のチョコレートだったり、そして"母の死"という箱に詰まっていた"最愛の人"という名のチョコレートだったり・・・。

一口コメント:
90年代半ばのアメリカの歴史をある一人の人物の生涯を通して、描いた作品です。

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