陽だまりのグランド
採点:★★★★★☆☆☆☆☆
2002年4月29日(映画館)
主演:キアヌ・リーブス、ダイアン・レイン
監督:ブライアン・ロビンス

"変えることはできるんだ―――僕も・・・あなたも・・・。"
野球になんら興味もない自分が、なぜだかこのキャッチ・フレーズに惹かれて見た作品です。

コナー・オニールはギャンブルで人生が狂ってしまい、巨額の借金を抱え、借金取りに追われていた。証券会社の友達の代理で週$500の報酬で少年野球チームのコーチを引き受けることになった。
最初の仕事は宿題を提出していないために野球を禁じられている2人の少年をチームに復帰させることだった。ようやく9人がそろい試合ができる状況になったが、チームの少年が帰宅途中暴漢に襲われた。それ以来子供達を車で送ることになり、低所得者住宅で生活する子供達の現状に触れ、野球に楽しみを見出している子供たちの心を知る。
試合をこなしていくうちに子供達の信頼を得るようになるが、ある試合で「俺は今日でやめる」と子供達に言う。この日、コナーは借金をチャラにできるギャンブルにかけていて、勝っても負けても町を出て行くつもりだった。この発言を聞いた子供達は意気消沈し、負けてしまった。ギャンブルに勝ったコナーは翌日、グランドに行き、「道具を届にきただけだ」と言い、子供達に別れを告げ、ギャンブル仲間と共に去ろうとするが、コナーの心に芽生えた子供達の絆からか、ギャンブル仲間を捨て、子供達と共にプロ野球を見に行った。
その試合以降連勝を重ね、選手権に出れるかどうかがかかった試合がやってくる。相手は前回大敗した相手だった。そしてある事件が起こり、クライマックスを迎える・・・。

この作品はテロ事件直後に公開され、全米で2週連続1位を獲得した作品であり、多くのアメリカ人の心を癒したのではないだろうか?この映画の主人公は少年達との野球を通して考え方が変わっていく。心に闇があった人間がスポーツを通して、心に光を持つという、よくあるストーリーといってしまえばそうなのだが、"スポーツはいいものだ"ということを再認識した映画でもある。スポーツはいろんなことを教えてくれる。チームワークもそうだし、勝った時の喜び、負けた時の悔しさもそうだ。人間勝った時よりも負けた時のほうが多くを学ぶとよく言われるが実際そうだと思う。他にもリーダーシップを学んだり、競争心を得たりする。これらはすべて生きていく上で欠かすことのできない重要なものだ。そういったものを再認識させてくれるだけでもこの映画を見た価値はあった。
そしてアメリカ社会の現実を描いた描写もいくつか出てくる。この作品の舞台はシカゴだが、シカゴといえば全米でも2、3位を争う大都市。しかしそんな大都会であるにもかかわらず、低所得者の住宅地域は危険地帯である。それを示すように最初の方に暴漢に襲われたり、練習からの帰り道で射撃の音が聞こえたり、チームの少年を自宅まで送って行ったときに、"なぜみんな床に座っているんだ?"と主人公が少年に尋ねる。すると少年は"窓よりも低いところで銃弾を避けるんだ"と答える。別れ際、"楽しみは?"と少年に聞くと"Baseball with you(コーチとの野球)"と答えた。低所得者の生活を描いていたことで、この台詞がものすごく際立って胸に響いた。銃に脅えながら暮らす日常から逃れられるのが野球であり、その時間を一緒に共有してくれるのがコーチなんだ、と言っているようにも思えた。

宣伝用に使われた言葉で、この映画の重要な部分をまとめていると思うので、それを書いて終わりにしたいと思う。
僕は野球を教えた。子供達は僕に人生を教えてくれた。

一口コメント:
子供の頃に覚えたスポーツがもたらしてくれる喜び、
そして人生は変えられるんだということを教えてくれる作品です。

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