アイ・アム・サム |
この作品でアカデミー賞主演男優賞3度目のノミネートのショーン・ペーンと、同じく過去に3度アカデミー賞にノミネートされたミシェル・ファイファー共演の感動作品、そして周囲の感想も上々ということで見に行った作品。
知的障害で7歳の知能しかないサム・ドーソンはホームレスの女性を妊娠させ、娘を授かった。しかしホームレスの女性はサムと娘を置いて去ってゆく。サムは大好きなビートルズの曲名からルーシー・ダイアモンド・ドーソンと名づける。7歳の知能で頑張って子育てをしていく。助けをくれる人たちもいた。隣人アニーや同じ障害者仲間たちだった。
ルーシーは7歳になり、自分が父親を追い抜いてしまうことを自覚し、勉強を避けるようになった。ある日、担任の連絡を受けたソーシャル・ワーカーが訪ねてきて、サムには養育能力がないとして、ルーシーは施設で保護されることになる。
週2回の面会しか許されなくなり、途方に暮れるサムだが、負け知らずの弁護士リタに助けを求める。高額な弁護料を払えないとみたリタは冷たくあしらうが、周囲の視線を意識して無料で弁護を引き受けることになる。
裁判ではまともにしゃべることもできないサムを助けようとしても障害者の友人達にも証言はできない。隣人のアニーは外出恐怖症を乗り越えて出廷したが、相手弁護士にやられてしまう。そしてサム自信もやられてしまい、すっかり自信を失ってしまった。
その一方でルーシーがサムを誘導して面会の日に逃亡をする。ルーシーが父親であるサムを引っ張っていく。
弁護士リタは華やかなキャリアとは裏腹に、息子ウィリーとは不仲になり、夫は浮気をしているという生活の中で、サムとルーシーの親子関係を見てリタの心も変わっていく。同僚の視線を気にしたり、体裁を気にしたり、そんなことより大事なものに気が付きはじめる。
そして再びサムが証言台に立つ日がやってきた・・・。
この作品を見て感じたのは。メインの役者三人の演技が冴えまくっている、ということです。サム役のショーン・ペンにいたってはこの役でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされているし、同じくノミネートされた「デッドマン・ウォーキング」の死刑囚役とはまったくことなった役を演じ分けている。
そしてリタ役のミシェル・ファイファー。彼女の演技も素晴らしい。敏腕弁護士という華やかなキャリアを持つ一方で、家庭生活に問題を抱える弱い女性の一面も見せる。
しかしこの作品で一番の演技をしていたのはルーシー役のダコタ・ファニングだろう!知的障害を持つ父親を引っ張る力強さと父親を愛する純真無垢な子供の心をうまく演じている。「マイ・ガール」のアンナ・クラムスキーを彷彿とさせられた。
映画で涙を流すかどうか?というのにはいくつかの要素があると思う。その一つが感情移入できるかどうかだと思う。その点でこの作品は優れた作品であると言える。
この作品のテーマ―は"親子の絆"です。知的障害者が父親としての役割をまっとうできるのか?そして父親の知能を超えようとしている少女の複雑な気持ち。親の心境というのは誰もが感じたことのあるものではないが、子供の心境というのは誰もが感じたことのあるものであり、そういった意味でこの作品は親の心境、子供の心境という2つの視点から感情移入ができる。そういった意味で涙を誘いやすいのかもしれない。こう書いている自分も涙しましたし・・・。
またサム親子の絆が引き裂かれていく過程で、リタ親子の絆が再確認されていく。そういった意味でのバランス(陰と陽という意味)の良さもこの作品を秀作として成り立たせているのかもしれない。