ジャンパー/Jumper |
瞬間移動を真正面から描いた最初の作品ではないだろうか?予告編を見るとドラゴンボール世代の自分としては見ないわけにはいかない作品だと思ってしまったこともあり、早速試写会で見てきました。
"ジャンパー"のデヴィッドは瞬間移動の能力を悪用し、銀行へ忍び込んで大金を盗み取ったり、世界中を散歩して毎日を楽しんでいた。。しかし、"ジャンパー"の抹殺を使命とする組織パラディンのリーダー、ローランドがデヴィッドの存在に気づく。
ある日、偶然再会した幼馴染のミリーをデートに誘い、ローマに旅行に訪れるが、そこでもう1人のジャンパーと出会い、パラディンという組織のことを知る。
かくしてジャンパーvsパラディンの戦いが幕を開ける―――。
いや~、実にもったいない作品である。
瞬間移動の描写は非常に面白いし、設定も面白いし、スクリーンに映し出される映像も面白いのだが、なんか薄いのだ。
例えるなら、いろんな食材がそろっていて、1つ1つは最高級の素材なのだが、それを調理する料理人の腕がいまいちなために、それらの素材をふんだんに使って料理をしてみたら、美味しいには美味しいのだが、もっと美味しい料理に仕上げれたんじゃないのか?という感覚だ。
そういうわけで、この作品、もっと面白く仕上げられたのに・・・という意味で非常に残念である。
例えば、逃亡者であるジャンパーが瞬間移動の能力を使えるのに対し、追跡者のパラディンは普通の人間であり、何の特殊能力もない。はっきり言って弱い!!
だからあまり緊迫感がないので、いまいち盛り上がりに欠けるのだ。例えば追跡者もジャンパーだったら、もっと面白い話になっていたはずだ。その証拠にもう1人のジャンパーと、瞬間移動の能力を使いながら2人が戦うシーンは、まるでドラゴン・ボールの悟空vsセルの実写を見ているようだったし、パラディンが瞬間移動先である砂漠まで追ってきた時に、やはりもう1人のジャンパーがロンドンから2階建てバスを砂漠へと瞬間移動させたシーンも非常に面白かった。
この作品がいまいちだった最大の原因はジャンパー2人を味方にして、ジャンパーx2 vs 一般人という設定にしてしまったこと。この設定を敵にすることでジャンパー vs ジャンパーという、おそらく歴史に残るSF大作になっていたのではないだろうか?あるいはジャンパー以上の能力を持った能力者を敵にするかだ・・・。
とはいえ、世界各地の観光名所を映像で見せてくれるのは旅好きの自分としては満足の行く内容であった。覚えている限りを挙げると、ニューヨーク(エンパイア・ステート・ビル)、ロンドン(ビック・ベン)、ローマ(コロッセオ)、エジプト(ギザの三大ピラミッド)、そして東京といった観光名所の風景を見れるというのはこの作品の1つの売りでもある。
そして上述したように瞬間移動の能力の描写の仕方は非常に素晴らしい。
例えば東京の街を高級車(瞬間移動の能力で盗んだ車)で飛ばすシーン。渋滞している車線を瞬間移動でどんどんと追い抜いていくというシーン。本人だけでなく、それに付随するものも瞬間移動できるというのをすごく分かりやすく描いている。
またベッドの左端から右端へ移動するだけの描写にすら瞬間移動を使って、見ている観客を楽しませてくれる。
といった感じで映像的に面白いのはもちろんだが、瞬間移動の能力を身につけたら、誰もが一度は考えるであろう銀行の金庫への潜入。誰もが考えるから、普通ならやらないだろ?ってことをやっているあたりも、良い意味でリアルで主人公への親近感が沸く。
とはいえ、やはりもったいない作品である。最後の終わり方も続編作りますよ!というのが見え見えな終わり方で、続編を作るなとは言わないが、続編を作る前に、もっと丁寧にパート1を作ってくれ!と心の底から叫びたくなる作品である。
面白いけど、もっと面白くなれただけに、"もったいない"作品です。