ロード・オブ・ザ・リング ~旅の仲間~ |
「スター・ウォーズ」やテレビゲーム「ドラゴンクエスト」などの原点とも言われる20世紀最高のファンタジー小説、「指輪物語」の映画版。公開前に全3部作と決まり、3本まとめて撮影されたという前代未聞の作品。2002年度のアカデミー賞ではタイタニック(14部門)に次ぐ、13部門ノミネートで、3月の発表次第では11部門を獲得した「ベンハー」や「タイタニック」を超える可能性もある。
闇の冥王サウロンは世界を滅ぼす魔力を秘めた指輪を作り出した。その指輪にはサウロンの邪悪さが詰まっていて、数千年の時を経て復活したサウロンはそ指輪を再び手にしようとしていた。
指輪を破壊しなければ、世界は破滅してしまう。その方法は唯一つ。指輪を作り出した火口に指輪を投げ込むしかない。
指輪の所持者となったホビット族のフロドはホビット、エルフ、ドワーフ、魔法使い、人間、総勢9人の仲間と指輪を破壊するための旅に出る。途中、オーガやトロル、ドラゴンといった魔物を倒しながら旅は進んでいく。その過程で何人かの仲間を失いながら、指輪の持つ不思議な魔力が発揮されていく・・・。
映画の終わり方は"ここで終わり?"という、なんとも後味の悪い終わり方(例えるならテレビドラマの"続く"とか、人気がなくて連載打ち切りになった漫画の最終回とか、「バック・トゥ・ザ・フーチャー2」のような感じ)であり、普通の映画の終わり方ではない。恐らく大きな物議をかもし出すのではないだろうか?3部作とはいえ、1つ1つきちんとした終わり方があるだろうと思っていると、拍子抜けな終わり方だと思える。ゲームのRPGでいうなら、ボスは3人いて、中ボス、大ボス、最終ボスといった感じで1つ1つに大きな敵がいるわけでもなく、ボスはどうやらサウロン1人だけらしい。だからといって、この作品がつまらないわけではない。約3時間の上映時間にも関わらず、あっという間に過ぎ去ってしまった。そして何よりも早く第2部が見たくて仕方がない。つまらない映画であれば、3時間は長いだろうし、次が見たくなることもないだろう。
この映画を見て驚いたのが、映像の素晴らしさ。どうやって撮影したのだろう?というシーンがいくつもある。CGなのか?ブルー・スクリーンによる合成なのか?ファンタジー小説の映画化ということで言えば、「ハリー・ポッター」もそうなのだが、「ハリポタ」は魔法世界といっても、現存する建物とかがあり、映像化しやすいと思うが、この作品に関して言えば、ホビット、エルフと言った現存しない生物の村を描いたりしているし、洞窟の中で見つけるドワーフ族の地下神殿などは想像の世界を実写にしたものであり、感嘆してしまう。
ストーリー的にも胸にグッとこみ上げるものがいくつかあった。主人公フロドの仲間のうち、おっちょこちょいなホビット仲間のピピンとメリーの2人は、指輪を捨てる旅の参加者を決める秘密会議を盗み聞きし、「俺達も行く!」といって会議に途中から参加するのはいいが、「で、どこに行くの?」というシーンは笑えるのだが、2回目に見た時には笑いの裏にある、この映画のテーマの1つでもある"友情"に少し心打たれた。そう、この映画の大きなテーマは"友情"だと思う。同じホビットという種族の中での友情、ホビットの中でも年齢を超えた友情、そしてエルフ、人間、ドワーフ、魔法使いなどの種族を超えた友情・・・。旅を進めていくうちに崩れていく友情もあるが、深まっていく友情のほうが多いように思えた。第2部、第3部でこの友情がどう変化していくのかも非常に楽しみです。
いわゆる冒険ものの原点と言われるだけあって、TVゲーム「ドラゴンクエスト」シリーズを映画化したら、こんな感じになるのではという感じを持っているので、「ドラゴンクエスト」をはじめとするRPGにはまったことのある男性達には支持されるかもしれない。
スター・ウォーズ3部作のような明瞭な終わり方ではないので、同じ3部作といえども、正直第1部だけで、映画の内容を判断するのは難しい。3作品全部見てから、評価をしたいと思うが、この第1部から判断するのであれば、かなりレベルの高い作品になるのではないだろうか?恐らく21世紀を代表する映画の1つになるのではないでしょうか。そんな雰囲気を持った作品です。
ところで、アメリカでの第2部、第3部の公開日程は第2部が今年の12月、第3部が2003年の12月となっています。日本ではどうなるのかわかりませんが、1つが3時間として、3作合計で9時間という超大作です。それでも多くの人をひき付けるだけの魅力を兼ね備えた傑作だと思います。