マトリックス |
キアヌ・リーブスが挑んだ初の3部作。
ソフトウェア会社に勤める傍らハッカーとしても名を馳せるネオはある日、見も知らない男達に追われつかまってしまう。腹部から寄生虫のようなものを入れられる・・・とハッと目が覚め、夢だったと思っていた。しかしトリニティという女性に連れられてモーフィアスという男のもとへ連れて行かれ、それが夢でなかったことを知る。そして今の自分の生きている世界が仮想現実の世界"マトリックス"と呼ばれる世界であり、本当の世界は100年以上前にコンピューターとの戦いに敗れた人間が、コンピューターに栽培されるという恐ろしい世界になっていた。
モーフィアスはネオが救世主であると信じており、ネオはモーフィアスの仲間によって仮想世界における訓練プログラムを受け、次第に救世主としての力を見につけていった。
預言者と呼ばれる女性に会うために"マトリックス"の世界に入り込んだネオを待っていたのは、預言者の"残念だけど、あんたは救世主じゃない"という言葉。そして仲間の裏切り。裏切りによって一緒にマトリックスに入りこんだ仲間5人のうち2人が死に、モーフィアスは捕らえられてしまう。
モーフィアスを捕らえたのはエージェントと呼ばれるコンピューターで、人間の住む最後の集落ザイオンへの侵入コードを吐かせるために捕らえたのだった。一方、なんとか無事に現実の世界に戻ってきたネオとトリニティだったが、捕らえられたモーフィアスを救出すべく、再び"マトリックス"に入り込む。
エージェントの潜むビルに正面から突入するシーンはかなり見ごたえがある。激しい銃撃戦の中でトリニティの華麗な体術が映えているし、ネオも負けないアクションを見せてくれる。なんとかモーフィアスを救出することに成功するのだが、エージェントたちもしつこく追ってくる。ビルの屋上でエージェントと1対1になるネオ。ネオの撃った銃弾は全てかわされてしまう。そして逆にエージェントがネオに向けて銃を構えた。銃弾が発射されるとスローモーションになり、有名なあのシーンが展開される。トリニティの協力もあり、エージェントを退治し、モーフィアスとトリニティが現実の世界へ戻った直後、もう一人のエージェント現れ、ネオは最後の一騎打ちへと挑んでいく・・・。
難解極まりないストーリーをわかりやすい場面展開と今までに見たこともない驚異の映像でわかりやすく見せることに成功した作品。――仮想現実と実現実――。この今の自分がどちらの現実に生きているのかと錯覚させるそのアイデアは今までの映画にはないもの。このアイデアを軸に物語は展開していく。今までにない映像と今までにないアイデア。そのどちらかを備えた作品というのは数多く存在するが、その両方を備えた映画となると希少な存在だ。言い換えれば、そういった作品が名作と呼ばれることになるのだろう。
この映画から2つの画期的な撮影手法が誕生した。冒頭いきなりの格闘シーンから今までに見たことのない映像が飛び込んでくる!サングラスに黒装束で決めた女性が宙に浮いたかと思うとそこで映像が止まり、360度映像が回転する。「バレット・タイム」と呼ばれる撮影手法で日本でも一時ブームになり、日本のCMやハリウッド映画でも多く用いられることになった。
そしてもう一つが、ワイヤー・アクション。こちらも「チャーリーズ・エンジェル」や「ミッション・インポッシブル2」をはじめ、多くのアクション映画で用いられることになった。
今見てもアクション映画の先端を走っているアクション映像、そして複雑なストーリーをわかりやすく見せる場面構成や展開。
これぞ、21世紀の映画!!と呼べる傑作です。