マイノリティ・レポート
採点:★★★★★★☆☆☆☆
2002年12月14日(映画館)
主演:トム・クルーズ
監督:スティーブン・スピルバーグ

ハリウッド映画界でを代表する二人、トム・クルーズスティーブン・スピルバーグが組んだ近未来SF作品ということで、全米公開された夏から心待ちにしていた作品。

2054年ワシントンでは犯罪は予知され、犯罪を働こうとする者は未然に逮捕されるようになった。その犯罪予防局のチーフ、ジョン・アンダートンはプリゴグと呼ばれる予知能力者のイメージを元に殺人事件を一歩手前で食い止めた。その一方で失った息子に対する後悔の念からドラッグの常習犯という一面も持っていた。
翌日いつもどおりに業務をこなしていると、犯罪予告が発生する。その被害者はリオ・クロウ、そして加害者の名は・・・"ジョン・アンダートン"。自分の名前が予告されたことで、犯罪者を追う立場から犯罪者として追われる立場になってしまう。しかし被害者となるリオ・クロウという人物を知らないジョンはなぜ?という思念にとらわれながら、昨日まで自分の部下だった犯罪予防局の仲間の追跡を必死で振り払う。高速道路の車上での移動、路地裏でのジェット噴射機を利用したシーン、そして無人の自動車工場とこの作品の中で最高のアクションが立て続けにスクリーンで繰り広げられる。
何とか追跡の手を逃れたジョンは犯罪予知システムの開発者であるハイネマン博士を訪ね、"マイノリティ・レポート"と呼ばれる予知システムのミスを記したレポートの存在を聞かされる。ジョンはそのマイノリティ・レポートを手に入れるため、犯罪予防局に乗り込むことを決心する。

高速道路は水平方向に伸びるだけでなく、垂直方向にも伸びる社会、しかしながら車には依然としてタイヤがついている。これが2054年、今から約50年後の世界像としてこの作品では描かれている。映像化するなら、1000年後には現在生きている人間は誰も生きていない。つまりどんなイメージでも好きに描くことができるため、1000年先の方が映像化しやすい。しかし50年後となると、生きている人が多数いるので、現在の延長線上としての未来像を描く必要性がある。そういった観点から考えるとかなり共感が出来る未来像だと思う。
眼球IDで人間の所在地が確認されるハイテク管理システムなどはまさにその典型的なものである。今でもGPS携帯で所在地が確認できる。眼球IDシステムは"携帯するくらいなら、体内に埋め込んでしまえ"という発想である。
他にも音声認識システムを利用した電気のスイッチ類、CD-ROMの発展系らしきガラスのような記録媒体など現在存在するものが発達したら、こうなるだろうと思わせられるアイテムが多く登場する。

そしてアクション・シーン。垂直走る高速道路上で車の上を次々に移動するシーンや、ジェット噴射機を利用した空中バトルなどはスピルバーグ監督らしい演出といえる。その一方で今までの作品には見られなかったサスペンス要素も詰まっている。ジョンを罠にはめた犯人の謎解きなどは"これがスピルバーグ作品か?"と思ってしまうほど、今までの彼の作品のイメージとはかけ離れている。

映像で魅せることに関しては天才的な手腕を持っていたスピルバーグが今までのように映像で魅せる部分も残しながら、緻密なサスペンスも描くという新境地を開拓したとも言えるこの作品。主演のトム・クルーズに関しても、「M:I-2」以来のアクション大作でありながら、ドラッグを服用する人間、そして最愛の息子を失った父親という今までにはない役を演じており、ハリウッドを代表する大御所二人が共に新境地を開拓した作品であると言えると思います。

一口コメント:
ハリウッドの大御所二人が共に新境地を開拓した作品です。

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