パイレーツ・オブ・カリビアン |
ディズニーランドにあるアトラクション「カリブの海賊」をモチーフにした作品。"海賊物は当たらない"という映画界の通説を覆し、アメリカだけでなく、世界中でヒットしている。
カリブ海のある港町の総督の娘エリザベスは、子供の頃にウィルという少年から手に入れた黄金のメダル大切に持っていた。ある日、町はバルボッサ率いる海賊に襲われ、海賊たちはメダルごとエリザベスをさらい、ブラックパール号で逃走する。エリザベスに思いを寄せるウィルは、彼女を救うためにバルボッサの居場所を知る一匹狼の海賊ジャック・スパロウと手を組み、英国海軍の戦艦を奪い、ブラックパール号を追いかけていく。
一方さらわれたエリザベスは月の照らす夜、バルボッサたち海賊の真の姿を知る。バルボッサとその手下たちは呪いをかけられ、永遠に死ぬことを許されず、月の光の下で醜い姿をさらしたのだった。
黄金のメダルの謎をジャックから聞いたウィルは間一髪のところでエリザベスを救い出すことに成功し、帰路につくが、追いかけてきたブラック・パール号によって乗組員共々捕われの身となる。そしてウィルはバルボッサの呪いを解く鍵がエリザベスではなく、自分が握っていることを知るのだった。
エリザベスを救おうとするウィル。ウィルを助けようとするエリザベス。その2人を助けようとするジャック。そして呪いを解くためにウィルをさらったバルボッサ。4人それぞれの思惑が絡み合いながら、海賊船は進んでいく・・・。
正直、あまり期待していなかったが、非常に面白かった。というのも、この作品のプロデューサーであるジェリー・ブラッカイマーの最近の作品がいまいちのものばかりだったから。例えば「ディープ・インパクト」とほぼ同じ内容でパクリものかとすら思った「アルマゲドン」、そしてその「アルマゲドン」と同じような設定で舞台を変えただけとしか思えない「パール・ハーバー」、そして何のテーマもなかった「ブラック・ホーク・ダウン」。といった感じで今回つまらなかったら、次回からは彼の手がけた作品は見ないでおこうと思っていた。その反動もあってか、かなり満足の行く内容だった。
まずストーリー。海賊物ということで、アクション重視かと思っていたら、展開自体はB級サスペンス物としても通用するような展開で、英国海軍の船を略奪するシーン、バルボッサの海賊と英国海軍を戦わせるジャックの策略、そしてメダルの呪いを解く最後の瞬間のジャックとウィルの策略などは見ていて愉快で、今までのブッラカイマー作品にはなかった面白さです。
またキャスティングもなかなかはまっていた。ウィル役のオーランド・ブルームは「ロード・オブ・ザ・リング」で注目を浴びた若手スターということで、これはその時人気の上がりかけの俳優を起用するといういつも通りの手法。エリザベス役のキーラ・ナイトレイに関しても、これから人気が出そうという、現時点ではそれほど知名度の高くない女優といういつもと同じ手法。しかし、ジャック役のジョニー・デップだけは今までにないキャスティングで、一癖あるジャックという役にその手の役をやらせたらトップレベルの彼をキャスティングしたのは素晴らしい。
ストーリー展開にしてもキャスティングにしても今までにないブラッカイマーの新境地を見せられたようで、彼の手がける作品は今後も見続けようと思わされてしまった。
夏の大作映画としては認知度の低かった作品ですが、最終的には「踊る大捜査線」、「マトリックス」に次ぐ成績を上げそうな勢いです。個人的にも上記2作品に次ぐ面白さだったと思います。