トゥモローランド
TOMORROWLAND
採点:★★★★☆☆☆☆☆☆
2015年6月28日(映画館)
主演:ジョージ・クルーニー、ブリット・ロバートソン、ラフィー・キャシディ
監督:ブラッド・バード

小さい頃に訪れたディズニーランドで最も好きだったエリアが映画になったということで見に行った。

1964年のニューヨーク万博を訪れた少年フランクは自分の発明品をコンテストに出すつもりだったが、追い返されてしまう。しかし彼の力を見抜いた少女アテナにピンバッジを渡され、「イッツ・ア・スモール・ワールド」へと誘われる―――。
それから数十年後、NASAのエンジニアである父親の職を守るために、夜な夜なスペース・シャトル発射台の解体作業現場に潜り込んでは妨害工作をするケイシー。しかしある日潜入に失敗し、逮捕されてしまう。すぐに釈放になったケイシーだったが、見覚えのないピンバッジが自分の荷物に紛れ込んでいた。そのバッジに触ると今までに見たことのない別世界に入り込んでしまう―――。

ん~~~、なんか微妙。
別世界の映像はディズニー映画お決まりのオープニングのロゴのシンデレラ城を別世界のそれに変更してしまう程、力が入っているし、空中を走る列車や空中に浮かぶプールなど、近未来的な別世界の映像もさすがハリウッド。でもそこを歩いている人たちの服装は現代とそこまで変わらない。
エジソンや日の当たらない天才テスラ、ジュール・ヴェルヌ、エッフェルらが作った秘密結社的組織であるプルス・ウルトラなる組織が登場し、オカルト的なにおいが一瞬漂うものの、世界的に有名な建築物がパカッと割れて、その雰囲気を台無しにしてしまっている。ただしこの秘密結社の裏設定はディズニー映画の域を超えた瞬間に非常に面白い設定に変わるので、ディズニー以外のスタジオでぜひ映画化してほしいとは思う。LAに住んでいた当時、通勤途中にテスラ・モーターズなる名前の会社があり、その当時にテスラって何だ?と調べて以来、エジソン以上の発明家が陰謀で消されたんだ!と思っていた・・・。
ちょっと話が逸れたが、力を注いでいるのに細かいところがダメだったり、せっかく作った雰囲気をぶち壊しにしたり・・・、何というか、やることがチグハグ。1つの世界観を作ることに関しては世界一とも言えるディズニーのはずだが、この作品に関しては?がつかざるを得ない。見方を変えれば挑戦的な作品と言えるのかもしれないが・・・。

そしてもっとも?が付いたのはこの作品の一番大きな問題とも言えるある問題が結局解決されないまま終わってしまった点。一応ディズニーらしくハッピー・エンドっぽい終わり方になってはいるが、冷静になると"あれ?問題解決してないじゃん!?"となり、"これ続編作り放題じゃん!"となる。
映像美も良いし演出も良いが、全体的なチグハグ感は脚本が問題だと思われる。そういう視点に立つといくつか"?"が見えてくる。フランクが操縦するとある乗り物は一回限りの使用のはずなのに彼はどうやって操縦を覚えたのか?、そしてフランクとケイシーの2人以外のピンバッジ保有者はどうなったのか?ピンバッジを持っていても現実の世界の高低差を含む環境はは反映されているはずなのに、とある時点からその高低差がなくなったり・・・、そもそもトゥモローランドが未来なのか?と思いきや別世界だという設定の説明が不足してたり・・・。
同じディズニーでもピクサー作品が練りに練りこんだ脚本を仕上げてくるのと比べるとその差が際立ってしまう。

この作品で良かった点と言えば、ジョージ・クルーニーが惚れてしまう女の子を演じたラフィー・キャシディ。ものすごく将来性を感じさせる女優。ハリウッドの有名子役でそのまま成長しても有名なままの俳優はかなり少なく、途中でグレてしまったり、人気がなくなり露出が減る人が多いが、ドリュー・バリモアやエマ・ワトソンのように成長してほしいものだ。

それ以外に良かった点を挙げるとすれば、脚本はイマイチなものの、既に述べた近未来的な映像とレトロな映像のバランス感。近未来的な世界に行くためのきっかけとなるバッジが何とも言えないレトロ感満載な作りだったり、ケイシーがテキサスにあるお店を訪れた際の店内のレトロ感に反した近未来的な武器でのやりとりなど、そのチグハグさが上述したのとは別の意味で面白かったのも事実。
またトゥモローランドの映像の中にディズニーランドに実際に存在するスペース・マウンテンの建物が映り込んでいるのを見つけた時には少し興奮したりもした・・・。

といった感じでレビューもチグハグな感じになってしまった(苦笑)が、そういった作品だということです。仮に続編があったとしてもTVで見ることはあっても、映画館に見に行くことは確実にないです。

一口コメント:
いろんな意味でチグハグな作品です。

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