2002年5月14日(火) 「World Cup is ...」
さて今回のコラムは前回予告したとおりW杯が世界一のスポーツ・イベントと呼ばれる理由について
書いていきたいと思います。
W杯はサッカーという単一種目のスポーツイベントでありながら、世界中の人々が注目する大会です。
スポーツの祭典と言われるオリンピックと比べてみてもその人気は決して劣ることなく、それどころか
オリンピック以上の人気があることがわかります。それを裏付ける数字としていくつかあがって
います。そのひとつ全世界における視聴者数を例にとってみると、1996年に開かれたアトランタ
夏季オリンピックの総視聴者数が約196億人である一方、前回の1998年W杯フランス大会に
おける総視聴者数は約331億人と大きく上回っています。世界中の人が一人5回以上は
見たことになります。W杯の人気がいかにすごいものかがわかっていただけるでしょうか?日本に
おいても前回のフランス大会第2戦のクロアチア戦の視聴率は平日の夜9時以降のテレビ放映で
あったにもかかわらず、60.9%の驚異的な視聴率を記録しました。このような世界最大規模の
スポーツ・イベントがもうすぐ隣国韓国に・・・、そして我が国日本にやってくるのです。
このような一大イベントとなったW杯の起源を簡単にひも解いてみましょう。世界各国のサッカー
協会が加盟するFIFA(国際サッカー連盟)が設立されたのは1904年のことです。当時、
多くの国でサッカーはプロ組織によるチーム運営が主流でしたが、FIFAは設立当初から
世界選手権の開催を検討しており、1928年アマチュアを対象とするオリンピックではなく、自らが
真の世界の王者を決定する大会を開こうという声明がFIFA総会で採択されました。これを受け、
1930年に建国100周年を迎えた南米ウルグアイで記念すべき第1回大会が開かれました。この
大会は予選はなく、招待国を含む総勢14カ国によるもので、開催国ウルグアイがW杯の歴史に名を
刻んだ最初のチームになりました。ウルグアイではこの優勝を記念して6月31日は国民の祝日に
なっています。その後、第二次世界大戦による2回の中断がありましたが、17回目を迎える
今大会では史上最多の197ヶ国が参加する国際的な大会になりました。16回、98年に及ぶ歴史の
中でW杯は戦争を引き起こしたり、殺人を引き起こしたり、悲惨な事件を幾度となく引き起こして
きました。しかしそれ以上に世界中の人々に多くの感動と興奮を与えてきたのではないでしょうか?
イングランドのベッカムといえば、今でこそ世界のトップ・プレーヤーですが、前回フランス大会の
対アルゼンチンでレッドカードによる途中退場責任を負わされた彼は国をあげてのパッシングに
遭いました。また前々回アメリカ大会ではオウン・ゴールを入れてしまったコロンビアの選手が
帰国後に射殺されるという悲劇も起きています。他のどんなスポーツにこのような血の歴史が
あるでしょう?
"スポーツマンシップに反するんじゃないか?"という意見をいう人がいるかもしれません。しかし逆に
考えれば、何かをかけて戦うべきもの、それだけ大事なものなんです。例えばそれが国の威信だったり
するわけです。夢や希望とかそういった類の奇麗事だけでは済まされないものなのです。
少し話題が暗くなってしまいましたが、W杯とは世界最大のスポーツ・イベントなのです。
そしてそのような大会が自国で開催されるのですから、サッカーに興味のない人も、ぜひこの"W杯"を
感じてみてください。
"World Cup is a thing not to see but to feel !!"
次回からはW杯が生んだスーパー・スターを特集していきます。
See Ya!!
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