名探偵コナン 水平線上の陰謀
採点:★★★★★★☆☆☆☆
2006年1月22日(DVD)
原作:青山 剛昌
監督:山本 泰一郎

2006年最初の映画はシリーズ初の二重サスペンスということで、期待していた「名探偵コナン」シリーズ第9弾。

今回の事件の舞台は、豪華客船アフロディーテ号。財閥の娘である園子が両親の代理として招かれたのだが、ひとりではつまらない、といつものメンバー(コナン、蘭、毛利小五郎、灰原、阿笠博士、そして少年探偵団)を招待してくれたのだ。 食堂で知り合ったシナリオライターの日下やアフロディーテ号の設計技師にして名付け親でもある秋吉とテーブルを囲んだり、蘭が空手の関東大会で優勝を果たした話で盛りあがっていた。
翌日、かくれんぼをすることになったコナンたちだが、鬼の役だった園子が、何者かによってある場所に監禁されてしまう。コナンはすぐさま閉じこめられていた場所を突き止める。園子を襲った犯人を捜していたところ、アフロディーテ号を所有する八代客船の社長を務める貴江が死んでいるのを発見する。そして八代グループの会長が海上で遺体となり発見されたことで、事件はさらに複雑になっていく。
一方、陸上では別の事件の捜査をしていた警視庁の佐藤刑事たちがあることを発見する―――。

今回も前作同様、内容的には下手なハリウッド映画よりも断然面白い。
今回の物語は、シリーズ初の二重サスペンス。豪華客船に張り巡らされた陰謀、海上と陸上という離れた場所での2つの事件に、=過去と現在=2つの時代が複雑に絡みあう。というわけで、ミステリー部分は 前作「銀翼の奇術師」よりは凝っていると思うのだが、アクションという意味では前作には及ばない。海上の豪華客船が舞台ということで、「タイタニック」的な展開を予想していたら、予想通りに船は沈没し、しかもカメラアングル(アニメ映画にカメラなどないのだが・・・)まで「タイタニック」をパクっているし・・・。

シリーズモノの定めというか、なんというか、"いつも通り"の展開も見られる。例えば、"いつも通り"の新一と蘭の恋愛(いつも一緒の展開だな~)。"いつも通り"の阿笠博士の駄洒落クイズ(そしていつも通りコナン、灰原シラケ気味)。そして"いつも通り"のありえない小学生なコナン(苦笑)。
いつもと違っていたのは、いつもは"迷"探偵の毛利小五郎が、シリーズ史上初めて"名"探偵になった点。ちょっとカッコ良かった。しかもその名推理のきっかけとなった出来事がまた、面白い。ドラマとしての深みをましている。
あとコナンが殺人犯を追ってモーターボートに乗り込むシーンで、「運転できるの?」、「いや~、ハワイで親父に・・・」という、いつもの会話が出てくるのかと思いきや、今回はそのお約束のやり取りが無かったので、すこし残念です。

「いろいろとある矛盾点はアニメだからということで、さらっと流せてしまう。ここがアニメの強い点でもある。」と前作のコメントで書いた。そして今回もそういう点が多々あったのだが、一つだけ、例えアニメでも許されない矛盾点があった。しかも最後の最後で・・・。
それは、沈没する船から、ヘリコプターからロープで吊るされた海上保安庁の救助員に助けられた小五郎、蘭、コナンだったが、ロープを引き上げている際に、コナンがおこっちてしまいそうになり、蘭が差し出した(少年探偵団が蘭へのプレゼントに渡した手作りの)ネックレスをつかみ、かろうじて助かるというシーン。いくら子供とはいえ、手作りのネックレスが人間の全体重を支えることができるわけがない。普通切れるだろう?
と、この点だけはどうしても気になった。

さてさて、コナンも次回で10周年だそうです。「ドラえもん」や「サザエさん」よろしく、いつまでたっても小学生のまま・・・。毎日のように殺人事件に巻き込まれる小学生などいるわけない・・・、なんて大人な突っ込みをしたら、アニメなんて成り立たなくなるので、そういう突っ込みはしないように!!

一口コメント:
今回の一番の見所は、"迷"探偵の"名"推理かもしれません。

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