陰 陽 師 Ⅱ |
「前作」から2年。昨今の続編ブームに乗って、この作品も続編が作られた。予告で流れていた地面の割れるシーンとチラシで読んだ神話の話に魅せられてしまった。
平安の都では貴族たちが鬼に襲われる事件が相次いでいた。鬼は日食の直後から出没し、今までに四人が襲われていた。それぞれ肩、鼻、口、そして足を食われているという猟奇的な事件。源博雅は右大臣の命を受け、安倍晴明に事件解決を依頼する。右大臣の娘、日美子がその日食以来、夜中に夢遊病のように彷徨い歩き、都を騒がす鬼と娘に何か関連があるのではと心配する右大臣。何も心配することはないと言う晴明だったが、右大臣が何かを隠していることを悟っていた。
一方、博雅はある夜に、琵琶を演奏する須佐という少年と出会う。須佐の故郷に古くから伝わるという調べに感動し、管弦の友となる。
同じ頃、都には傷や病をたちどころに治し、神と崇められる幻角という男が現れる。
そして宮内では、都の宝「アメノムラクモの剣」が不思議な現象を起こしだす。「アメノムラクモの剣」にただならぬものを感じ取った晴明は、剣について古い書物を調べ始め、大和の朝廷と出雲との衝撃の事実に辿り着く―――。
オープニングから前作とまったく同じ展開でスムーズに作品に入り込んでいける。その後の展開も前作同様、序盤は笑いを交えた主要キャストの紹介、中盤は謎解き、そして終盤は善対悪の対決と、前作同様の展開を見せる。
ストーリーとしては、神話の世界まで話が広がり、前作よりも複雑になっていて、謎解きの部分は楽しめる。またCGもいたるところでふんだんに使われており、予告で感動した都崩壊のシーンはもちろんのこと、調べ物をする晴明と巻物のシーンなどは見ものだと思う。が神話の世界に入り込んだ後のシーンでのCGは安っぽく見えて、最後の締めだというのに拍子抜けしてしまう。CGが悪いのでなく、CGで描くべき世界観が悪かったというべきだろうが・・・。
この作品で最も良かったと思うのは中井貴一。悪役としての演技はかなり良かったと思う。というのも見ていて、非常に憎たらしいと思えたから。悪役を演じる上で憎たらしいと思われることは素晴らしい。もちろんキャラクター設定自体がそういう憎まれるべき設定になっていたせいもあるのだろうが、彼の演技がその設定に更なる憎しみを加えたことも間違いない。中でも笑い方に非常に悪意がこもっていて、幻角が高笑いするシーンが何度かあるのだが、その度に胸がむかついたのは彼の演技力の賜物だろう。
全体的には神話を盛り込んだ内容と言い、笛と琵琶の合奏といい、日本の伝統を生かした内容であり、神話の話などは知らない人にとってはとっつきにくい話だと思うのだが、それを感じさせないのは前作同様、わかりにくい部分は博雅の視点から捕らえ、その後で晴明の視点で物語が進んでいくという展開の仕方があったからだろう。