赤 い 糸
採点:★★★★★★☆☆☆☆
2009年8月23日(DVD)
主演:南沢 奈央、溝端 淳平
監督:村上 正典

恋空」に続く携帯小説の映画化。TVドラマが面白かったこともあり、見た作品。

中学生の芽衣の誕生日は、クラスメイトの敦史と同じ、4年に1度の2月29日。ある日、その事実を知った敦史。次第に惹かれあう2人。修学旅行の初日に敦史はその事実を芽衣に告げ、さらに告白をする。
しかし翌日、クラスメイトの沙良が、芽衣に対してとある誤解を抱き、自殺未遂してしまう。さらに新しくできた彼氏には暴力を受け、親友がドラッグに手を出し、両親は離婚を決意すると同時に芽衣の過去を明かす・・・。

と、まぁ主な出来事だけを並べると、よくもまぁ、ここまで不幸なことが続々と起こるなぁ・・・という「恋空」同様の内容なのだが、個人的には「恋空」よりも全然良かった。
まず第1に、「恋空」に比べて現実的にありえる設定だったということ。そして第2にキャストの演技が良かったということ(ただし中学生には見えないという意味での、年齢設定は問題あり)。

まず第1の設定についてだが、4年に1度の2月29日という希少な日を誕生日に持つという設定。
これは冷静に考えれば、そうはないだろう!と思うのだが、恋愛映画というジャンルに位置する映画であれば、ロマンスを加味する要素の1つではあると思うし、この設定が実は物語りに1本、大きな筋を通しているため、ここに関して、そんな馬鹿な?という驚きはなかったし、「恋空」のレイプされた直後にセックスするなんていう設定よりは全然現実味がある。

一つだけ、それはないだろ!?という設定もあった。
芽衣に対して、両親が離婚を告げ、さらに芽衣の生世の秘密を話す場面。何の伏線もなかったので、あまりにも唐突過ぎる。しかも4年に1度の2月29日、芽衣の誕生日。そんな記念日にそんな事実を告げる親がいるのか?せめて翌日まで待てなかったのだろうか?
逆に沙良が自殺未遂をしたシーンは、そんなことで自殺未遂するか?という人も多いだろうが、もともと根暗で、でも文化祭では狂ったように踊る性格の持ち主というキャラ設定があったのだから、そこは無駄にリアリティを感じてしまった。

第2の俳優陣。過度な演技はないし、外見をのぞけば等身大の中学生だったと思えるし、高校生になってからは外見的にも完璧にマッチしている。そして何より、自分の中高生時代は、こういうのあったな・・・という気持ちになれた。「恋空」と大きく違うのが、ここ。一言で言えば、感情移入できるポイントがあったか、なかったか?この点で「赤い糸」の方が勝っている。
まぁ、良い意味でも悪い意味でも、「恋空」で免疫ができていたというのが大きいのかもしれない。「恋空」を見ずに、この作品を見ていたらまた評価が変わっていたかもしれない。

とまぁ、「恋空」と比較してばかりだが、そこを意識するなと言うのは無理な注文だ。製作のフジテレビがそれを意識させる宣伝をしているのだから・・・。

ただ一つの映画として見た場合、大いに疑問が残る。
まずは何よりテレビと映画の連動企画と言いながら、実は"映画=テレビドラマのダイジェスト"以外の何者でもない。「このシーン、テレビドラマで見たなぁ」の連続で、「このシーンは初めて見た」って言うシーンは一つもなかった。実際はあったのかも知れないが、大幅に変わっている、あるいは加わったシーンがない。
どうせ、ダイジェストにするなら、テレビドラマが終わった後か、テレビドラマが始まる前に流すべきだったのではないだろうか?自分はテレビドラマをすべて見た後でこの作品を見ているのだが、日本公開時はテレビドラマの途中、年末をはさむドラマ休止中の中継ぎ上映のような感じで上映されていたはず。
このドラマの途中での映画公開ということで、映画の冒頭は各登場人物の紹介など一切なく、いきなりドラマが始まり、ドラマを見ていないと、それぞれのキャラクターの背景など、まったくわからないまま映画は始まり、しかも映画の最後は「To be continued」で終わって、完結編はテレビドラマを見てください、で終わる。
テレビと映画の連動だから、始まりがテレビからつながる、あるいは終わりがテレビへつながる、のどちらからならまだ理解できるが、両方ともテレビドラマにリンクされていると、もうこれは映画ではなく、テレビドラマの中継ぎとしか呼べない。
そういった意味で映画は映画でなんらかのきっちりしたオープニング、あるいはエンディングを見せて欲しかった。

というわけで、映画としては大いに疑問が残るものの、テレビドラマ単体として捉えた場合、わりとレベルの高い恋愛ドラマとして見れるのではないか?と思います。

一口コメント:
一言で言えば、「映画=ドラマの総集編」です。

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