レイダース 失われたアーク
採点:★★★★★☆☆☆☆☆
2005年2月9日(DVD)
主演:ハリソン・フォード
監督:スティーブン・スピルバーグ

20世紀の映画界を代表する二人が手を組んだアドベンチャー・シリーズ第一弾。

1936年、第二次大戦直前。ナチスは、伝説のアークを探していた。そのことを知ったアメリカは、大学で考古学を教えるインディアナ・ジョーンズ博士にアーク発掘を要請する。その依頼を受けた彼はエジプトへと向かう。途中、かつての恋人、マリオンと再会するが、ナチス一派の攻撃を受けた二人は、行動を共にすることになる。
ナチス側は、フランス人考古学者ベロックを仲間にし、砂漠の中にある埋蔵地点の発堀を開始。その裏をかき、見事アークを手にしたインディーだったが、アークを奪われ、マリオンと共に神殿の奥底に閉じ込められてしまう。そこから脱出した2人は、軍用トラックを駆使して、再びアークを取り戻しカイロからアメリカへと向かうが、ナチスはUボートでインディーの乗る貨物船を襲撃し、アークとマリオンを奪い去ってゆく。
ヒトラーに届ける前にアークを開け、中身を確認することになり、ドイツ軍の基地になっている島へと向かう。その島への潜入に成功したインディーは、マリオンを助けようとするが、逆に敵に捕えられてしまう。夜になり、遂にアークの蓋が開けられ―――。

オープニングから物語へ引き込まれる始まり方になっている。盗掘阻止のための防御システムをかいくぐりながら、ジャングルの奥地に眠る秘宝を、盗み出すというこのシリーズの象徴的シーン。
さらにこの作品の後半へとつながるシーンが二つ埋め込まれているのも見逃せない。一つは落石から逃れ、洞窟を飛び出した瞬間にベロックに秘法を奪われてしまうシーン。これはアークを発見するが、再びベロックに奪われてしまうシーンにつながる。もう一つは命からがら追跡を逃れ、飛び乗った飛行機の中に蛇がいるシーン。これでインディーが蛇嫌いだということがわかり、アーク発掘のために訪れた神殿で床を埋めつくすほどの大量の蛇のシーンが面白くなる。
脚本がうまく練られているというのがわかるオープニングになっている。

そして、インディー役のハリソン・フォード。このシリーズ以外にも「スター・ウォーズ」シリーズをはじめ、彼の出演作は数多いが、このインディー役ほどはまった役は他にないのではないだろうか?個人的には「エア・フォース・ワン」の大統領役も気に入っているが、やはりこのインディーには勝てない。あの帽子に、あのムチ。一見、ウエスタン・スタイルにも見えるが(他の人がしてたら、間違いなくそうなるだろう・・・)、ハリソン・フォードが身に着けるとまさに"考古学者インディー"に見えるから不思議だ。それほどこの役がはまっているということだろう。
肉体的にはタフで、運動神経がよく、性格的にはちょっとガキっぽさ(あるいはニヒルさ)を残したまま大人になってしまった感じ。ムチを使って、走る車に食い下がるシーンは「ポリス・ストーリー/警察故事」の傘でバスにぶら下がるシーンを彷彿とさせるし、飛行場での素手での格闘シーンがインディーがいかにタフかというのを示している。そしてカイロの街中で追手に襲われて、相手が剣を振り回しているのを冷静に銃で射殺するシーン。彼のガキっぽさというか、ニヒルさを象徴している。

時代が時代だけに仕方がないのかもしれないが、ドイツ軍の秘密基地でアークを開けるシーンの視覚効果が、合成だとわかりすぎるほどの合成で、ちょっと現実世界に引き戻されてしまうが、これは自分が映画作りに携わるようになったからなのだろうか?
このシーンだけがこの作品の他のシーンとは別物になっていて、それまでの冒険活劇的な雰囲気はいずこへ?というくらいに浮いてしまって、しかも物語のクライマックスであるということも考えると、このシーンは何とかならないのかな?と思わされてしまった。

しかし物語全編を通して、飽きることなく、映像に、そして音楽に惹きつけられるのは、さすがにスピルバーグの成せる技といったところか。ジェット・コースター・ムービーなどという言葉が当たり前になっているが、ひょっとしたらこの言葉の元祖はこの映画なのではないか?ふとそんな考えが頭をよぎった。

一口コメント:
"ジェット・コースター・ムービー"の元祖といえる作品です。

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