採点:★★★★☆☆☆☆☆☆
2004年12月19日(DVD)
主演:ジャッキー・チェン/成龍、ミシェル・ヨー
監督:スタンリー・トン
「ポリス・ストーリー」の続編第三弾。
香港警察のチェンは、麻薬シンジゲートを壊滅させるためにインターポールの女性部長ヤンと協力して任務にあたることになった。特殊任務のエキスパートの彼女からおとり捜査の訓練を受け、麻薬組織のNo2であるパンサーを強制収容所である炭鉱から脱獄させる。チェンの腕を見込んだパンサーは、香港まで同行するように頼む。途中、パンサーがチェンの故郷に寄っていくことを提案するが、母親に化けた上司らの演技のお陰で、うまく切り抜ける。そして妹に化けていたヤンが、パンサーを公安との乱闘で助け、同行することになる。香港で麻薬組織の頭であるチャイバに気に入られた二人は、麻薬と武器の取引に同行することになる。チャイバは、同席していたものを皆殺しにして、ひとり占めすることに成功する。そしてクアラルンプールに潜入したチェンたちだったが、偶然仕事で訪れていたメイが一味に捕まり、チェンとヤンの正体がばれ、マレーシア警察に囚われているチャイバの妻を脱獄させる作戦に参加させられることに―――。
今作が今までの二作と異なる点は、コンビを組んで敵を追いかけるという点ではないだろうか?しかも相手は女性。それが裏目に出た。はっきり言って今作はジャッキーのアクションが少ない。めぼしいのは炭鉱から脱出する際の人間ロープウェイ、そしてラスト・シーンのヘリ宙吊りと走る電車の屋根での戦いの3つくらい。
その分ミシェル・ヨーがバイクで列車に飛び乗ったり、パート1でジャッキーが見せたバスぶら下がりを大型ワゴン車で実演して見せたり、と頑張っていると言えば頑張っているのだが、何か今ひとつもの足りなかった。
あと個人的にちょっと残念だったのが、署長が変わっていたこと。そのため、凸凹コンビが見られなくなってものすごく淋しい気持ちになった。
舞台が香港だけでなく、中国本土、タイ、カンボジア、マレーシアへと広がったため、映画としての規模としてはスケール・アップしているはずなのだが、ストーリーや映像的にはスケール・アップしているようには見えない。むしろスケール・ダウンしている。その大きな原因はやはり体当たりアクションの派手さが欠けたからではないだろうか?ジャッキー自身のアクションが明らかに減っている(年齢を考えれば、それでもすごいことをしているのだが・・・)し、その減少分をカバーするほどのアクションをミシェル・ヨーが見せているというわけでもない(上述したように頑張ってはいる・・・)し、それをカバーしようとしたのかどうかわからないが、取引現場での爆破はハリウッド映画と比べると格段にレベルが落ちてしまうし、このシリーズの色には合わない。そしてやはり格闘シーン。これがこのシリーズの核であるにも関わらず、今作品の格闘シーンはシリーズを通して一番物足りない。格闘シーンといっても、訓練所での模擬格闘シーンと、偽故郷での公安との戦闘、そして最後の列車のシーンくらいで、さらに前二作とは異なり、小道具を使った戦闘シーンがまったくない。これがこの作品の"いまひとつ"感を作ってしまった大きな原因だろう。
そしてストーリー的にも前二作に比べて面白みがない。舞台的には香港を飛び出し、いろいろな要素が詰まっているはずなのに、上っ面だけで深みがないし、ドラマとしての人間描写も前二作に比べて落ちる。前二作で言えば、ジャッキーの周囲の人間をいたぶることでジャッキーの心の葛藤を描いていた(パート1では同僚の刑事を殺され、パート2では恋人を拉致される)が、今作はそれがない。恋人が拉致されているといえば、拉致されているがそこをいたぶっているシーンがないし、ジャッキーの心の葛藤を描くシーンもなく、一言で言えば"軽い"のだ。
コメディー的要素もまったく影を潜めてしまっている。前二作では署長や上司が担っていたその役を相棒となったヤンが演じるわけでもなく、物語は淡々と進んでいく。物語全体がシリアスな雰囲気ならそれでもいいのだろうが、そういうわけでもないし、シリーズの続編という設定である以上は、シリーズの色というものは引き継いでもらいたかった。
シリーズを総評すると
シリーズ
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アクション(ジャッキー)
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アクション(ヒロイン)
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格闘シーン
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ドラマ(心理描写)
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コメディ要素
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ストーリー性
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パート1
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特上
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下
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上
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上
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中
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上
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パート2
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中
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中
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上
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上
|
上
|
中
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パート3
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下
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上
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下
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下
|
下
|
下
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といった感じです。
一口コメント:
シリーズ中最低評価の作品です。