呪怨/Grudge
採点:★★★★★☆☆☆☆☆
2005年1月20日(映画館)
主演:サラ・ミシェル・ゲラー
監督:清水 崇

日本人監督制作の映画が史上初めて全米No.1を獲得(しかも2週連続!!)したということで、公開当時、こちらアメリカでも話題になった作品。今回、リバイバル劇場で「アレキサンダー」と抱き合わせで安値で公開していたので、見に行った作品。

3年前にある家で起こった殺人事件。父親が妻と子供を殺したという事件。その日にその家を訪ねていたアメリカ人の大学教授も翌日に自殺してしまう。そして現在、アメリカ人一家がその家に住むようになり、夫と妻、そして夫の母親の3人で暮らしていた。しばらくすると妻が狂い始め、夫も恐怖に苦しむようになる。
東京で福祉を学ぶカレンは、恋人のダグと暮らしていた。ある日、郊外にある一軒家に住む老婆の介護に行くことになる。到着したカレンは2階から聞こえる物音を耳にする。その一軒家は3年前の殺人事件の舞台であり、カレンも恐怖に飲み込まれていく―――。

日本版の「呪怨」を見ていないので、日本版との比較はできないが、アメリカ版を見る限りでは面白いと思った。"魔法"や"魔術"ではなく、"呪い"や"怨念"といった日本的な怖さをうまく引き出せていたのではないだろうか?それはやはり、アメリカ版リメイクでありながらも、舞台は日本家屋という設定をそのまま残して、アメリカの役者を日本に呼んで、日本人監督がメガホンを握っているからだろう。
ストーリー的にもよくできていて、恐怖という意味ではハリウッド的な物理的、かつ瞬間的な恐怖の連続と日本的な心理的な恐怖がうまく融合されていると感じた。

がしかし、説明が足りないというか、単純に矛盾点が多いというべきなのか、わからないが、あまりにも納得のいかない点が多かったのも事実。舞台となる家に立ち入ったものが、呪いによって殺されるはずなのに、一度もその家に立ち入ったことのない、一軒家の持ち主の妹が消されるのは何故なのだろう?そして家宅捜査に立ち寄った二人の刑事のうち、一人だけが死に、一人だけ助かったのは何故なのか?
そして何よりも大きな矛盾点というか、設定のミスが次の二点。まず、製作者の意図としては、日本家屋が舞台となっている映画の舞台をアメリカに置き換えるよりは、日本にアメリカの俳優を呼んで、日本で制作したほうが恐怖感が引き立てられると考えてのことだったと思う。確かに日本家屋の恐怖感という意味ではその選択は正解だったかもしれないが、日本に福祉を学びに来る留学生という設定には厳しいものがある(日本が福祉先進国だというなら別だが・・・)というのが一点目。さらに日本の郊外にアメリカ人一家が一軒家を買うという設定にも無理がある(普通なら都市部のマンションなどに住むでしょう?)、というのが二点目。この二点というのはこの作品における一番の核ともいうべき最重要事項であるはずなので、その設定に無理があるのはいただけない(これはあくまでも自分が日本人であり、日本のことを良く知っているからだとは思うが・・・)。

全体を通してみれば、矛盾点の少なさ、そしてホラー映画の一番の醍醐味ともいうべき"恐怖"という意味でも「ザ・リング」には及ばないものの、良作ですかね。
今後も日本人監督制作のハリウッド映画が増加することを期待したいと思います(ホラー以外のジャンルで・・・)。

一口コメント:
あまりにも矛盾点が多いものの、和製ハリウッド・ホラーとして成り立っている作品です。

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