2 1 g |
人が死んだとき、誰もが失うある一定の重さがある。それがこの作品のタイトルでもある"21g"ということで、劇場で見た予告編にものすごく引き込まれてしまった。しかも主演の3人が、ノミネート作品は違えど、アカデミー賞同時ノミネートという史上稀な作品でもあり、期待して見に行った作品。
全く別の世界に生きていた1人の女と2人の男の運命を引き寄せたのは、ひとつの心臓だった。余命1ヵ月と宣告されて、心臓移植以外に助かる道のないポール。優しい夫と2人の幼い娘と幸せに暮らしているクリスティーナ。信仰に没頭することで、平穏な生活を送ろうとする前科者のジャック。
ある日ジャックの運転する車が、クリスティーナの夫と娘たちの命を奪ってしまう。夫の心臓がポールに移植され、回復したポールが心臓提供者を知るために探偵を雇い、次第に3人は近づいていく―――。
最初、物語が過去と未来を行ったりきたりで、物語の進展が非常にわかりにくい。物語が進展していくにつれて、少しずつ内容がわかり始める。と同時になんて切ないストーリーなのだろうと思わされることになる。
作品タイトルでもある"21g"だが、作品中ではチョコ・バー1個、5セント硬貨5枚の重さという例えが使われているが、魂の重さ、あるいは人の命の重さということをこの作品は伝えたかったのだろう。
また作品中で何度か繰り返し使われる台詞がある。「Life goes on(それでも人生は続いていく)」という台詞。夫を失ったクリスティーナに対して、クリスティーナの父が言ったのをはじめ、何度か使われている。たとえ、大切な誰かを失ったとしても、それでも世界は動き続けるし、周りは何事もなかったように動いていくもの。「世界の中心で、愛をさけぶ」に通じる設定であり、この作品を見て改めて「世界の中心で、愛をさけぶ」の作品としての魅力を実感させられた。
ニ作品を比べると「世界~」の方が共感できる部分が多く、「21g」の方が多少、文学的な匂いがして、ちょっと近づきがたい雰囲気があるというか、重いです。「世界~」を見ずにこの作品を見ていたら、また違った点数になっていたと思いますが、「世界~」と公開時期が近かったことで、私の中では評価が下がってしまった残念な作品です。