ビッグ・フィッシュ
採点:★★★★★★☆☆☆☆
2005年1月11日(DVD)
主演:ユアン・マクレガー 、アルバート・フィニー
監督:ティム・バートン

ジャーナリストのウィル。彼の父エドワード・ブルームは自分の人生を幻想的で面白く話し、誰からも好かれる存在であった。ただ一人息子のウィルを除いては・・・。ウィルも子どもの頃はそんな父の話を聞くのが大好きだった。しかしウィルの結婚式で喧嘩して以来、父とは口を利かなくなっていた。そんなある日、父の病状が悪化したことを知り、妊娠中の妻を連れて実家へと向かう。
死期が迫った父だったが、改めて彼の人生を語り始める。巨人とともに故郷を出て、サーカスで働きながら、他の男性と婚約中の女性に一目惚れをし、苦労の末に結ばれる。しかし結婚後、すぐに徴兵され戦争へ行き、そこで出会った双子の姉妹と共に世界を転々とし、アメリカに戻ってきて、一つの町を買い上げる・・・。
何度も聞かされた父親の話。ウィルは全部ホラ話だと思っていたのだが・・・。

父親と息子。いつの時代でも、どこの国でも普遍的なテーマといえるこの主題だが、父親のことをわかろうとするが、ホラ話ばかりの父親をどうしても深く理解することができない。そんな息子の心の葛藤と、父親のちょっと幻想めいたホラ話が入り混じって物語りは進んでいく。
そのホラ話だが、あまりにも現実離れしたものではなく、現実に少しファンタジー的な要素が加わっていて、それ話のオチは心を打つものであり、そこが多くの人に好かれる父親の魅力ともいえる。これがあまりにも現実離れした話だったら、多くの人に好かれるどころか、むしろ嫌われてしまっていただろうから・・・。
一方の息子はジャーナリストと職業が象徴しているように、現実の世界、目に見える世界に生きていて、目に見えない(見たことがない)ような父親の話は信じることができない。
そんな父親と息子だが、父親の死を前にして、二人の距離が縮まる。そして最後、お互いにわかりあえましたというオチではなく、父親のホラ話を聞かされ続けてきた息子が父親の最後の物語をホラ吹いて・・・、という設定が見事なエンディングを形作っていて、タイトルの"ビッグ・フィッシュ"というのも綺麗にエンディングに反映されていて、見事なエンディングに仕上がっている。

水彩画か何かに出てきそうな幻想的な町や、水仙の花で満たされた中での告白シーンのように美しい映像もあれば、道に迷った森の中で木や蜘蛛に襲われるといったスリラー映像もあり、さらに巨人や上半身は二つに分かれているが、下半身はくっついたまま一つの双子、といった不可思議映像もあり、映像に関しては文句のつけようが無い。
ストーリー的にもそれこそ、「フォレスト・ガンプ」のようにオムニバス的な作りになっていて、登場人物もいろんな形で登場し、ダン大尉のように再登場する設定も面白い。サーカスや戦争といった一昔前の時代設定が、"今は昔・・・"といった感じで、趣があって作品に引き込まれていく。

ただ一つ難点なのが、巨人。最初は作り物かと思っていたのだが、実際に存在する世界一大きい人間を使っているそうで、映像的に素晴らしいと思っていたのだが、作品の最初は他の人の2倍以上はあろうかという高さを誇っていたのに、最後のエンディングでは1.5倍くらいの高さになっていて、最初の2倍の高さは何だったんだ?と思わずにはいられなかった。物語前半はずっと2倍の高さをキープして、映像に映っていたのに、何故ゆえに最後だけは、1.5倍になったんだ?そこだけ手を抜いたのか?制作費がかさんで、どうしようもなかったのか?など、ちょっと現実世界に引き戻されてしまった。どうせ、1.5倍にするなら、最後ではなく、物語の途中でしてくれれば良かったのにと思わずにはいられなかった。

一口コメント:
(「フォレスト・ガンプ」+「ハリー・ポッター」)÷2=「ビッグ・フィッシュ」です。

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