レ イ ン |
"「レオン」をしのぐ激しさ、「シュリ」を超える切なさ"というコピーにひかれて見にいった作品。
いきなり殺人シーンから始まる冒頭。その死体から流れ出る血に監督などの名前が表示される。正直、カッコイイと思えた。
殺し屋コンは、聞き手を怪我したジョーと住み、コンはジョーの最愛の女性オームから仕事をもらい、ターゲットを確実に殺していった。
コンは病気になり、立ち寄った薬局でフォンという女性に出会う。耳の聞こえないコンは自分の病状を口で話すこともできなかったが、フォンは額に手を当て薬を手渡した。翌日お礼を書いた紙をフォンに渡した。次第に2人は惹かれあっていく。遊園地に行ったり、映画を観たり・・・。しかしある日の夜、「金を出せ」と2人を襲った強盗2人組を、コンはフォンの目の前で殺してしまう。その姿にショックを受けたフォンはその場を走り去る。
一方、ジョーとオームの2人にも悲劇が起きていた。ジョーとコンのボスの客にオームがレイプされてしまう。それを知ったジョーはその客を殺してしまうが、逆に大事な客を殺されたボスはジョーを殺してしまう。ジョーが死に、オームと一緒にボスの手下から必死に逃げる2人だったが、オームを殺され、コンは1人ぼっちになってしまう。
強盗に襲われた夜以来、ふさぎこんでいるフォンのところにコンがやってきて、手紙を渡し去っていく。その手紙には「僕が何をしているか、君は知ってしまった。でも君に会えてよかった。僕のことを気にかけ、互いに愛を感じた人がいた・・・」と書かれていた。
コンはジョーの復讐を果たすためにボスのアジトに乗り込んでいく・・・。
1つ1つの殺しのシーンは興味深いものがあった。特に香港の地下鉄での殺しのシーンは素晴らしい。カーブで車両が曲がって見えなくなるその瞬間を狙っての殺人だが、その描写の仕方が非常にうまかった。このシーンは「レオン」の激しさをしのいでいたといえる。
切なさはどうかというと、耳が聞こえない主人公が恋に落ちていくさま、殺された恋人の復讐を果たすジョー、そしてジョーの復讐を果たす主人公の3点が主だったものだろうが、やはり恋に落ち、その恋が壊れる瞬間が最も切なかったと思うのだが、「シュリ」の切なさを超えているかどうかはわからない。それ以前にシュリの切なさってそんなに印象に残ってないし・・・。
見終わった後すぐに思ったのは、別に耳が聞こえてもいいんじゃないの?ということ。確かに耳が聞こえないという設定がこの物語の見所の一つであるが、それならなおさら耳が聞こえないという設定が絶対に外せない状況を作って欲しかった。耳が聞こえて困る設定が1つもなかったのが、少し残念だった。
しかしラストシーンは良かったと思う。この映画のタイトルでもある「雨」の中、主人公がボスと一緒に倒れるシーンだが、耳が聞こえず、自分の心境を語ることもできない主人公の心境をこの「雨」が代弁しているように思えたのは自分だけだろうか