シルミド
採点:★★★★★★★☆☆☆
2004年6月12日(映画館)
主演:ソル・ギョング、アン・ソンギ、チョン・ジェヨン、ホ・ジュノ
監督:カン・ウソク

南北朝鮮を題材にした映画は過去に何度もあったが、韓国で史上初めて1000万人の観客動員を突破したということで、かなり楽しみにしていた作品。

死刑囚をはじめ、インチャンを含む31人の男達がある目的のために684部隊としてシルミドに集められた。その目的とは金日成の暗殺。韓国政府の指令で目的のため、そして任務を果たせば犯罪者ではなく、英雄になれるというその目的のために死よりも過酷な訓練に耐え抜いていく。
3年後、いよいよ暗殺の命令が下される。しかし、決行直前に作戦中止の命令が出される。南北の情勢が和平統一へと向かいだしたためで、韓国政府は684部隊の存在自体を消去するように684部隊の隊長に厳命する。命令に従い、全隊員を抹殺すべきか?どうか悩む隊長は部下に相談する。そして一人の部下によって、抹殺に反対する部下の出張中に計画を実行することになる。
しかし、その計画を事前に知っていたインチャン達31人は政府軍に対して銃を手に取り、シルミドを脱出し、バスを乗っ取りソウルにある大統領のいる青瓦台へと向かう―――。

今までの南北問題を扱った韓国映画(「シュリ」、「JSA」とは一味違う。というのは北朝鮮の軍隊は冒頭に登場するのみで、それ以降はまったく出てこない。それが史上初めて観客動員1000万人を突破した理由の一つではないだろうか?
またメインキャストに女性がいないというのも今までの作品とは一線を隔するところである。

それにしても、政府が死刑囚を暗殺部隊を組織するという歴史の闇に埋もれていた事実がこうして映画になるとは(しかもまだ50年も経っていないというのに・・・)、韓国の映画界というのはすごい!日本でいうなら、真珠湾攻撃を日本の映画会社が制作するくらいのことではないだろうか?今の日本からしてありえない話ではないだろうか?(年金未納問題を扱った映画が制作されることは近い将来あるかもしれないが・・・)
作品に登場する場面で一番印象的なのは、やはりラスト・シーンだろうか?途中にもいくつか印象的なシーンがあるにはあるのだが、すべて最後につながっているため、その集大成であるラスト・シーンがとても感動的になっている。中でも暗殺計画に反対した軍幹部の一人が駆け出すと同時に約束の飴が車から落ちるシーンはほんの一瞬ではあったが、自分の中では一番感動した。さりげない一瞬ではあったが、その1シーンがあるのとないのでは684部隊の隊員と暗殺反対の幹部との間の親密度合いが大きく異なっていた。
この作品の魅力はそういったさりげない一瞬に深い意味をこめたシーンがところどころに散りばめられている点だろう。

一口コメント:
歴史の闇に隠され続けていたあまりにも重過ぎる史実です。

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