ソ ウ ル |
2002年、記念すべき日韓共催サッカーW杯の年に日韓共同制作の映画が誕生した。
「ホワイトアウト」と「シュリ」のスタッフが集結し、韓国で撮影したことで、日本では使えない銃器なども使った迫力のある映像が撮られた。
逃亡犯を韓国まで護送してきた日本の刑事早瀬(長瀬)は空港に向かう途中、ひょんなことから事件に巻き込まれる。犯人には逃げられてしまうが、唯一犯人を目撃した早瀬には72時間の滞在許可が出される。
ソウル市警の刑事部長キム(チェ)はいきなり早瀬を殴る。早瀬のせいで犯人を逃したことに怒りを覚えていたからだった。早瀬はキムに協力しようとするが、言葉の壁、習慣の違いでキムに殴られるばかり。
捜査が進展するにつれて、通訳のユンからキムの過去を知らされる。キムは過去に日本での捜査がきっかけで心に傷を受け、それ以来心を固く閉ざすようになった。
"民族の夜明け"という組織が市警のコンピュータをハッキングし、アジア首脳会議開催を阻止するというメッセージを伝えてきた。そして来韓していた日本の外務大臣が誘拐される。
犯人からの要求に躍らされるソウル市警。以前盗まれた爆弾、おかしな身代金請求、事件は思わぬ方向へと発展していく。
事件解決後、日本に帰る早瀬を見送りにきたキムの韓国流礼儀にはありえないだろ!?と思いながらも格好良いと思ってしまった。
この映画を見て、ハリウッド映画のバディ・ムービーを思い出した。「リーサル・ウェポン」、「48時間」、「ビバリー・ヒルズ・コップ」などのでこぼこ刑事コンビもの。互いに考え方の異なる2人が捜査を通してお互いのことを認め合い、お互いに成長していく。この作品の二人も言葉が通じない、習慣が違うということで最初は反発しあっているが、早瀬のひたむきさに閉ざしていた心を徐々に開いていくキム。まさしくバディ・ムービーだと思う。
またコメディ的要素もいくつか盛り込まれている。殴られる度に「グーかよ?」という台詞をもらしたり、最後の最後で早瀬が漏らす台詞も笑える。
見終わった後にふと思ったのが、ここに「踊る大捜査線」の湾岸署が絡んできたら、どうなっていたのだろう?ということ。例えば、韓国からの逃亡犯を追っていたキムとそれに協力していた早瀬が湾岸署に協力を依頼したら・・・?などという感じで。次に日韓合作映画を作るのであれば、日本でヒットしたドラマなり映画と韓国でヒットしたドラマなり映画の世界を合体させてみてはどうだろう?そうすれば両国でおなじみのキャラ達が出演していることで観客にも、より一層受けいられるのではないだろうか?さすがにこれは夢の領域ではあるが・・・。
それにしてもアジアの映画レベルもどんどん上がっていく。その中でも日韓合作映画ということで、今回の「ソウル」は企画としても面白いし、内容も笑いあり、謎解きあり、人間ドラマありでレベルの高い作品に仕上がっている。