トゥー・ウィークス・ノーティス
採点:★★★★★☆☆☆☆☆
2003年6月22日(映画館)
主演:ヒュー・グランド、サンドラ・ブロック
監督:マーク・ローレンス

全米で9000万ドルの興行収入を上げ、日本では"ずっと待っていた2003年のキング・オブ・ラブ・ストーリー"という宣伝コピーで謳われた作品。

超金持ちでハンサム、不動産会社を営む有名人ジョージの元にルーシーという女性が訪ねてくる。地元で環境保護運動に取り組む弁護士の彼女は、由緒ある公民館を再開発の餌食にさせまいと、ジョージに会いにきたのだった。お互いの利益のためにジョージはルーシーを顧問弁護士として雇うことにする。
何もかも完璧にこなすルーシーにジョージはベッタリ頼りっきりになり、ネクタイ選びから離婚調停までをまかされるようになり、次第に疲れていく。遂に彼女は「最高に優秀な後任をみつける」と言って説得し、2週間で辞めることになった。そしてルーシーの後任は若く野心家のジューンに決まる。
後任が決まり、ジョージのお守り役は終わったはずなのに、彼にすり寄っていくジューンを見ると、無性に腹が立つ。テニスクラブへ出かけた帰りの車中で腹痛に見舞われたルーシーだが、そんな彼女を肩に担いでトレーラーのトイレにかけこんでくれたジョージのおかげで、どうにかピンチを切り抜けることができ、自分の気持ちに気付いていくルーシー。
一方、兄から公民館の取り壊しを命じられたジョージは、兄の圧力に負けてルーシーの期待に応えられない自分に歯がゆさを感じていた。互いに気持が噛み合わないまま、約束の2週間が過ぎてしまう・・・。

金持ちとその部下の恋愛。恋敵の登場で初めて気付く感情。舞台はニューヨーク。ストーリー自体は他のラブ・ストーリーと大差がなく、めちゃくちゃ面白いというわけでもなければ、つまらないというわけでもなく、普通に面白い。恋愛っていいなぁと思わせてくれるが、おそらく1年後には忘れてしまう内容だろう。
とはいえ、魅力的な部分もいくつかある。まずは舞台のニューヨーク。今までにここを舞台にしたラブ・ストーリーがいくつあっただろう?いくつもの映画が撮られているにも関わらず、作品ごとにまったく違った顔を見せるこの街は、SF映画にCGが欠かせないのと同じように、ラブ・ストーリーに欠かせない要素になっている。この作品では大会社がある近代都市の仕事の場所と、テニスコートや再開発地区にある海沿いの街などのくつろぎの場所としての2つの顔を持った街として登場している。

そしてもう一つが、いまやラブコメの王様と言えるヒュー・グランド。「フォー・ウェディング」以来、「ノッティングヒルの恋人」、「ブリジット・ジョーンズの日記」、「アバウト・ア・ボーイ」とどの作品も憎めない役どころを上手く演じている。そして今作もいつも通りのプレイボーイ振りを発揮しつつ、けれどどこか自分に自信を持てない男を演じている。
らしさの出ている台詞があるので紹介しておきたい。わがままに付き合わされるのに疲れ果てたサンドラ・ブロックがヒューに向かって「あなたは地球で一番身勝手な人よ」と怒る場面で、「地球人全員と会ったの?」とさらっと返す。こういった一見すると軽薄なだけにしか映らない演技をどこか魅力的なものにしてしまう彼の演技力というか魅力というか、彼にしかない絶妙な力は何度見ても飽きることがない。この作品で自分の中で好きな俳優のランキングがまた変動した。

最初は反発しあう二人がニューヨークを舞台に恋愛を繰り広げるというラブ・ストーリーの王道とも言うべき作品だが、やはり恋愛っていいもんだなぁという気持ちを感じさせてくれる作品です。

一口コメント:
言うなればラブ・ストーリーの王道です。

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