世界侵略:ロサンゼルス決戦
Battle: Los Angeles
採点:★★★☆☆☆☆☆☆☆
2011年3月20日(映画館)
主演:アーロン・エッカート、ブリジット・モイナハン、ミシェル・ロドリゲス、マイケル・ペーニャ、ニーヨ
監督:ジョナサン・リーベスマン

昨年の夏にサンディエゴで行われたコミコンというイベントで観たビルボード広告の名前だけで妙に気になった作品。さらに予告編を観て久々に興奮した作品。日本で東北・関東大震災が起きた週末に、全米初登場1位となった作品。

1942年のロサンゼルスを初めに、1965年のブエノスアイレス、1983年のソウル、1991年のロンドンなど、世界各地で未確認飛行物体の目撃例が発生するも、その実態は分からないままだった。
そして2011年、再び出現した飛行物体は、突如全世界に対し一斉攻撃を開始。ニューヨークや東京を含む世界各地の主要都市が次々と破壊されていく中、ロサンゼルスに米軍が集結、侵略者への抗戦を開始する―――。

ん~、微妙。
インディペンデンス・デイ」のような宇宙人vs地球人といった壮大な戦いを期待していたのだが、結果としては「インディペンデンス・デイ」と「プライベート・ライアン」と「クローバーフィールド/HAKAISHA」を足して5で割った感じ。3つ足しているので、本来なら3で割るべきところだが、そこまでのクオリティーはないので、5で割ってみた。

舞台がロサンゼルスの一地区のみで繰り広げられるため、地球規模とはお世辞にも言えない。また戦っている相手も外見がメタリック・ボディでいかにも機械!といった感じで宇宙人というよりはむしろロボットと呼ぶべき造形で、宇宙人vs地球人というスケール感ではなく、人間vs人間という小粒なスケール感。
というのは、ニューヨークや東京を滅ぼすほどのテクノロジーを持っているにも関わらず、地上に降りてきて、人間と銃撃戦を繰り広げ、しかも普通のライフルの銃弾で死んでしまう。圧倒的な力を持つ宇宙人に対し、地球防衛をかけた人間たちの感動のSF大作ドラマというよりは、外見だけ宇宙人(いや、ロボット)が相手の、普通の戦争映画と呼んだほうが適切である。

こういったSF大作の場合、圧倒的な強さで地球を侵略し、絶望感を感じながらも、最終的に弱点を見つけた地球人(多くは米軍)が、最後の最後で奇跡的に大逆転するというのがセオリーだ。しかし、この作品は最初は圧倒的な強さでニューヨークなどを侵略したにも関わらず(しかもその描写はない)、ロサンゼルスでは普通に銃弾や爆弾で殺されてしまう。その過程を見ているとなぜ、他の都市はこんな敵に壊滅させられたのだろう?と疑問を抱かずにはいられない。
また、水が動力源であるかのような前振りを何度もしていたので、水に汚染物質を混ぜるなどして、敵にその水を吸収させて撃退するのかと思っていたら、最後は普通にミサイルで撃破!いったい、何の前振りだったんだろう?

一般人を助けるくだりで、一般人が軍人の変わりに犠牲になったり、死地に赴くリーダーを追って、他の兵隊がヘリから降りてきて「隊長、ついてきます!的なシーンなど、こういったSFものではお約束のシーンがあるのだが、妙に浮いてしまっている。本来なら感動のシーンとなるはずだが、そこにいたるまでの過程がお約束をはずれてしまっていて、部分部分だけをお約束に乗っ取ったために、他のシーンからの流れにうまく乗っていないために、本来ならお涙頂戴のシーンが失笑のシーンに変わってしまった。
方程式全体ではなく、一部だけを流用すると、こうした悲惨な結果になりますよという、悪い意味での見本のような仕上がりになっている。

この作品で良かったのは、地上に降りる前のロサンゼルスへの侵略。上述しているが、圧倒的なスケール感で絶望感を味わせてくれるという意味では、かなり良いスタート。それをここ数年流行の手持ちカメラのような映像を混ぜることで、今までの宇宙人侵略映画とは一つ違った作品に仕上がっている。また米軍の戦闘機の破壊シーンや敵の宇宙船の造形もありそうでなかった感じが新しかった。
しかし、宇宙人が地上に降りてからの展開は「プライベート・ライアン」をはじめとする戦争映画のそれで、新鮮味がまるでない。なぜ宇宙人が相手の映画で、この戦いなんだ!?という疑問が最後まで続く。要するに新鮮味がないために、退屈なのだ。

映画館で見るに値するスケール感は冒頭だけで、ストーリー展開を含めた残りはTVやDVDで十分な内容です。

一口コメント:
壮絶なスケールで描かれる宇宙人vs地球人のSF超大作ではなく、見た目ロボットの宇宙人と人間の小粒なスケール感の戦争映画です。

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