マトリックス ~レボリューションズ~ |
全世界同日同時刻公開という史上初の試みを行い、「始まりがあるものにはすべて終わりがある」のコピー通り、三部作完結編として「マトリックス」の終わりを告げる作品。
「リローデット」のラストでセンティネルの大軍団を超能力で停止させ、同時に気を失ってしまったネオ。そのネオを救うためにトリニティとモーフィアスはオラクルのボディ・ガードであるセラフと共にメロビンジアンに会いに行く。
ネオの救出に成功した3人だったが、ネオとトリニティはマシン・シティに行くことを決意し、モーフィアスはザイオンを守るために戦うことを決意する。
一方、エージェント・スミスはザイオン側の人間を乗っ取り、現実世界にも進出する。そしてセンティネルの大軍団もザイオンに到着し、仮想現実vs実現実、人間vs機械、そしてネオvsスミス、それぞれの対決がそれぞれの結末を迎える・・・。
一言で言えば、盛りだくさんのストーリー展開と素晴らしい映像美と腑に落ちないエンディングだった。
まずストーリー展開だが、三部作完結編ということで今までの謎を解決したり、ネオとトリニティーの恋愛はもちろんだが、ザイオンを守るために戦う人間たちのドラマが派手なアクションや戦闘シーンの所々に散りばめられていて、見所は多い。主だったところを挙げるとミフネと16歳の少年キッド、ロケットの砲弾を手にしたジー、ネブカデネザル号におけるモーフィアスとナイオビ、といったところ。
映像美に関しては、前二作でも今までに見たことのない斬新な映像が展開されていたが、今回は前二作の映像が陳腐なものに見えてしまうほど素晴らしい映像が目の前のスクリーンで展開される。
トリニティ、モーフィアス、セラフの3人がメロビンジアンの元に乗り込んでネオを奪還しようとする戦闘シーンは、トリニティーのジャンプ・キックや銃弾によって砕け散る柱など、一作目のエレベーターホールでの戦闘シーンを彷彿とさせる、それをパワーアップした感じの映像だ。
センティネルとザイオンの戦いは日本のロボットアニメ、ネオとスミスの対決はドラゴンボールの界王拳を使った岩場における悟空vsべジータ、といった日本の漫画を実写化したらきっとこうなるだろうという今までにない素晴らしい映像だった。早いテンポの格闘シーンというのは得てしてわかりにくくなるのだが、ネオとスミスの対決は途中スローモーションをいれて、(これもアニメの影響だろうか?)今までの「マトリックス」以上に一挙手一投足がわかりやすい映像となっている。
また2人の戦闘シーンを印象付けるものにもうひとつ雨がある。雨の飛沫に光を当てることでドラゴン・ボールでいうところの"気"の実体化のような映像に仕上がっていて、とてもエキサイティングなシーンになった。
が、しかし前二作では非常に緻密に、かつ論理的に描かれていたストーリー展開が、最後の最後で良く言えば、神秘的かつ、メルヘンチックに、悪く言えば、非論理的かつ、大雑把になっており、見終わった後に頭の中に"?"が残る終わり方になってしまった。
最後の最後のメルヘンチックな終わり方は、見た人それぞれの解釈に任せますという受け止め方もできるが、ネオとスミスの戦いの結末は今までの緻密かつ論理的な二人のストーリー展開は何だったんだ?と思わずにはいられない終わり方で、最後の最後でがっかりさせられた。二人のきちんとした結末を描けていれば、満点だったのだが・・・。
とはいえ、それ以外の点はストーリーも映像も驚嘆の連続で、今までにない新世紀の映画の三部作完結編としては、納得のいくできだったと思う。