S K Y L I N E |
夏にサンディエゴで開かれたコミコンというイベントで巨大なビルボード広告を見て、そのデザインのみで見たいと思っていた作品。
ジャロッドは親友テリックのバースデー・パーティーに参加するため、恋人のエレインを連れてLAにやってきた。翌朝、青い光で目を覚ますパーティー参加者たち。ブラインドを上げ、窓の外を見る。そして青い光の中で仲間が1人突如消え去ってしまう。外に出るとロサンゼルス上空にいくつもの巨大宇宙船が浮かんでおり、人間を吸い上げていた―――。
痛い・・・。
CGを除く全てが痛い作品です。
まず役者。
どの役者も演技が何か嘘っぽい。そしてオーラがない。もちろん全員が全員オーラを持つ必要もないし、人間ドラマを描いた作品であればそれでも良いのかもしれないが、こういったSF大作で、オーラを持った俳優が誰一人いないとここまで映画が引き締まらないものなのか?というのを痛感させてくれる。
作品としてはハリウッド大作っぽい造りなのに、俳優が作品も質感においついていない。役者と作品の質がここまでアンバランスな作品も珍しい。
そして脚本。
この手のSFやアクション映画のルールとして、オープニング10分に盛り上がるシーンを盛り込め!というのがある。そのオープニングを盛り上げるために、侵略開始直前の映像を冒頭に持ってきて、オープニングの後に数時間前のシーンに戻る。しかし結論から言うと数時間前のシーンは要らないので戻る必要がまったくない。数時間前のシーンというのは登場人物たちの相関関係を示すためのパーティー・シーンなのだが、この相関関係がその後のシーンでまったく生きていないので、このシーンは不要である。
しいて言えば主人公の2人の関係が重要なのだが、それはパーティーじゃなくても十分ストーリー展開の中で説明できるし、主人公2人以外のキャラは予想通りどんどん死んでいくような誰でも良いようなキャラばかりなので、相関関係を示す必要もない。
もっと言えば、オープニングを盛り上げるという意味では持ってくるシーンが既に間違っていて、盛り上げなければいけないのに、盛り上がらない。もっと後半のシーン(予告にあるような人類吸上げシーンとか・・・)を持ってきて、そこから数時間前の侵略開始直前に戻るという設定の方がより面白かった。
そして何よりエンディング。
ここまでひどい終わり方はないだろう!という終わり方。歴代の映画を振り返っても間違いなくワースト3に入るであろうエンディングである。
ずっと逃げ回っていた主人公2人が遂に吸上げられてしまった後の描写なのだが、これから見る人のために詳細は伏せるとして、見終わった後にだから何?と思わず言ってしまうような終わり方。もっとわかりやすく言えば、映画が完結しないまま終わってしまっている。かといって続編があるような含みのある終わり方でもなく、最初に提起された問題が解決しないまま終わって起承転結の起承転までで、最後の"結"がないのだ。
ある意味、斬新で新鮮ではあるが、フランスや日本のアート系作品ならいざ知らず、ハリウッドのSF大作がこれをやってはいけない。
トータルで見るとボロボロの作品だが、見所があるとすればCGだけだ。エイリアンがLAの街を襲うシーンはよくあるエイリアンもの映画で見かけるシーンだが、アメリカ空軍と敵空母(みたいなやつ)との空中戦は見ごたえがあり、作品の質に見合うだけのクオリティだった。
「猿の惑星」以来、久しぶりのSF映画の駄作です。逆の意味で10年に1本の作品と呼ぶべき作品です。