クリムゾン・リバー2
~黙示録の天使たち~
採点:★★★★★☆☆☆☆☆
2004年6月7日(映画館)
主演:ジャン・レノ、ブノワ・マジメル
監督:オリヴィエ・ダアン
脚本:リュック・ベッソン

リュック・ベッソンとジャン・レノという「レオン」のコンビが組んだ、ミステリー・サスペンス作品の続編ということで楽しみにしていた作品。

フランスのロレーヌ地方にある修道院で、パリ市警のニーマンス警視は壁に埋め込まれた死体が発見する。一方、麻薬捜査を進めていた刑事レダは自身をキリストと呼ぶ男と出会う。翌日レダが病院に行くと、黒いマントに身を包んだ僧侶が病室から出てくる。キリストの身に何かあったと思ったレダはその男を追いかけるが、人間とは思えない跳躍力で逃げる男を捕まえることはできなかった。
ニーマンスは壁の死体が、最後の晩餐を真似た写真を撮った13人のうちの1人であることを知り、キリスト役の男の元へと駆けつける。そこでかつての教え子レダと再会し、キリストに自白剤を飲ませ、「封印が解かれる・・・」「黙示録の天使たちが来た・・・」といった言葉を発し、再び意識を失ってしまう。
宗教学の博士号を持つマリーが捜査に加わり、黒いマントの男たちによる殺人事件を追いかける3人だったが、殺害された被害者が最後の晩餐の12人の使徒と同じ名前、同じ職業だったことに気づき、壁に埋め込まれた死体が発見された修道院の標章をマリーが捜査する。そこには“JEO”という文字が刻まれていた。マリーはそれを"三位一体"を意味するのではないかと予想する。が"E"が逆向きなことがなぜなのかが分からない。さらに捜査線上に、黙示録に記される“七つの封印”の謎が浮かび上がる。ニーマンス達の捜査は、さらに深い謎へとのみ込まれていく―――。

前作に比べると、ミステリーの要素は格段にレベルアップしている。十二使徒と黙示録の天使を組み合わせた着眼点は素晴らしいとしか言いようがない。日本で言うならば、日本書紀と卑弥呼を組み合わせたような、誰もが持つ"謎に対する好奇心"をそそるという点から考えてみると、面白い着眼点である。
しかし、7つあるはずの封印は7つ登場しないし、キリストや12人の使徒が登場する理由付けがいまいち筋が通らない(ドイツという国が見つけられなかったものを12人で見つけてしまうという設定もそうだし、12人の使徒が見つける必要性もない)し、脚本としての完成度はいまいちだった。その証拠にサスペンス映画を見終わった後で、感じるはずの爽快感(謎が解けてすっきりした!みたいな・・・)がまったく感じられなかった。

また黒装束の黙示録の天使は複数の映画で見たことのある格好だし、途中で出てくる地下の坑道も「インディ・ジョーンズ」や「プロジェクト・イーグル」で見たことのあるような坑道だし、映像としても新鮮味のない作品でした。

しかし、俳優陣はキラリと光るものが多く、今後が楽しみです。まず、ジャン・レノ。フランス出身の俳優としては知名度No.1の彼はもう説明不要でしょう。
続いて、レダ役のブノワ・マジメル。フランスのキアヌ・リーブスといった感じの風貌で、今回のような体当たり系のアクションもこなせて、おそらくラブ・ストーリーやコメディーなんかをやっても、絵になる役者だと感じました。
そしてマリー役のカミーユ・ナッタ。私が彼女を見たのはこの作品がはじめてですが、彼女もブノワ・マジメルと同じく、アクションもラブ・ストーリーもコメディーもすべてこなすことができる感じです。しいて言うならば、フランスのジョディ・フォスターといった感じです。
とはいっても、ジャン・レノ以外の二人はフランスの役者ということで、ハリウッド映画に出ることはまずないと思いますが、またフランス映画を見る機会があれば(年に1本見るか見ないかですが・・・)、この二人が出てるかどうかで選んでみるのもありだなと思わされた作品です。

一口コメント:
十二使徒と黙示録の天使たちという着眼点は面白いが映画としては普通の作品です。

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