サ イ ン |
「シックス・センス」の監督第3弾!!
フィラデルフィア郊外に住むグラハム。彼の農場にある日突然ミステリー・サークルが現れる。飼い犬も突如凶暴になり、喘息を患う息子や水にとても敏感で家中に水の入ったグラスを置いている娘を襲おうとするが、間一髪のところで助かる。
気晴らしに町に出たグラハムたちは、事故で妻を殺害したレイを見かけるが、グラハムは何もせずに見送る。息子は本屋で宇宙人の本を手に入れ、家に帰ってからもそれを読みふけった。
そして次々と異変が起こり始める。誰かが家の周りをうろつくようになり、世界中のあちこちにミステリー・サークルが現れる。TVでは宇宙人が仲間を誘導するためのサインだと報じられていた。
そんなとき、電話が鳴るが、一言を言っただけで切れてしまう。グラハムは直感的にレイからだと思い、レイの家に向かう。レイは「あいつらは水が苦手らしい。だから湖の側に行く。それと貯蔵庫は開けるな。貯蔵庫の中にあいつを閉じ込めたから。」と言い、走り去る。
家に戻るとTVではミステリー・サークルの数がどんどん増えていると報じられ、グラハムも家の窓に板を打ちつけ、正体のわからない何者かから身を守ろうとするが・・・。
映画全編に散りばめられたスリラーの要素。例えば、ミステリー・サークル。例えば、娘の水を置く癖。例えば息子の喘息。例えば死の直前に妻が残した最後の言葉。・・・。それらは全て"サイン"であり、この映画の主題とでもいうべき、"奇跡"の兆候となっている。そして全ての"サイン"は最後のシーンで結びつくことになる。
このあたりの細工はスリラーやサスペンスには不可欠の要素であり、とてもうまく結ばれていると思った。
さて、この作品のテーマがなんなのかを探ってみるとしよう。SF大作のようにただ楽しみましょう!的な作品ではないことだけは確かで、自分は次のように考えた。
神を信じる神父だった主人公は妻が事故で亡くなってから、神を信じなくなり、神父をやめる。その彼が"人間には2つのタイプしかいない。神や奇跡を信じるタイプか、全て単なる偶然で、物事は全て自分次第だと思うタイプ"という台詞を言いながら、自分は後者であることを暗にほのめかすシーンがある。この台詞にこの映画のテーマが隠されているといえるだろう。ラストシーンで、主人公が信じていなかったはずの"奇跡"を目の当たりにすることで、この作品のテーマを伝えていたのではないだろうか?つまり言いたかったのは、おそらく「神を信じれば救われる」ということだったのではないだろうか?。
ここまで読んだ人は素晴らしい映画だと思ってしまうかもしれませんが、自分としてはこの映画の評価は決して高くない。それどころか低い。恐怖をあおるスリラー映画としてはなかなかの作品だと思うが、「シックス・センス」の監督作品ということもあり、何か最後に大きな謎解きがあるのだろうと思っていたせいもあってか、終わり方は「それはないだろ~!」という終わり方だった。野球に例えるなら、変化球なしの直球勝負。しかもかなりスローの・・・。文字通り"打たれた!"と言える終わり方(見れば、必ずこの意味がわかります)。前作の「アンブレイカブル」といい、今作といい、シャマラン監督の作品は題材は面白いが、映画としての完成度という点においてはかなりレベルが低いと思わされた作品です。