2001年10月3日(水)  「芸能界にみる愛国心と結束力」


9月21日、アメリカでは今までに前例のない一大プロジェクトが実施されました。
テロ事件発生からちょうど10日目のことでした。このプロジェクトの目的は 「to raise money for the relief effort following the September 11 terrorist attacks (9月11日のテロ攻撃救済援助のための資金稼ぎ)」でした。
そのプロジェクトとはABC、CBS、NBC、FOXの全米4大ネットワークが手を組み、同じ時間 に同じ番組を放送するという、かつてどこの国にも前例のない異例のプロジェクト。この番組には、 有名な歌手、俳優達が出演し、ロサンゼルス、ニューヨーク、ロンドンを中継で結んで放送されま した。ものすごい結束力だと思いませんか? Telehon(Television+Marathonの合成語で、慈善事業などのための長時間番組のこと)という 形式で、出演者としては、日本でも有名な芸能人が大勢。映画界からは、クリント・イーストウッド、 トム・クルーズ、ペネロペ・クルス、メグ・ライアン、ブラッド・ピット、ジュリア・ロバーツ、 キャメロン・ディアス、シルベスタ・スタローン、ジョージ・クルーニー、カート・ラッセル、アル・ パチーノ、ジャック・ニコルソン、ジム・キャリー、ウーピー・ゴールドバーグ、 そしてトム・ハンクス。
音楽界からは、マライア・キャリー、スティービー・ワンダー、U2、シェリル・クロー、デイブ・ マシュー、スティング、ボン・ジョビ、ビリー・ジョエル、そして休業中のセリーヌ・ディオンも 駆けつけて歌いました。

この番組はアフガニスタンを含む、世界各国で放送されました。アメリカでは8900万人がこの番組 を見たそうです。そして1億5千万ドル以上もの救済金を集めることができたそうです。それとは別に ジュリア・ロバーツの200万ドル($1=¥100としても2億円)を始め、芸能人からの寄付金も あり、かなり多額の寄付金が集まっているようです。
この他にも全米各地で有名歌手による無料の路上ライブが行われたようで、ボン・ジョビはN.Y.の 9月23日に「America the Beautiful」を歌いました。
また、ロビン・ウィリアムスはサンフランシスコに住んでいて、事件直後に近くの診療所に行き、 献血をしました。それによってかどうかはわかりませんが、その診療所には何百人もが訪れ、献血を したそうです。
このように芸能人が先頭に立ち、いろんな場面で活動することで、国民もいち早く活動をする。

残念ながら自分は見ることはできませんでしたが、向こうで会う人、会う人、みんなこの番組の話を するのを聞いて、これがどれだけ素晴らしい番組だったのか、よくわかりました。
アメリカを象徴するものとしてはたくさんのものがありますが、アメリカの映画、音楽というのは 世界でもトップクラスであることは間違いなく、その世界にいる人たちが結束することで、アメリカ 国民だけでなく、世界中の人を結束させようとした今回のプロジェクトは本当に、本当に素晴らしい ものだったと思います。

日本ではどうかというと、阪神大震災の時を思い出しても、それほど芸能人が先頭を切って何かを したという印象はありません。それに比べると今回のアメリカの芸能界の対応は素晴らしいもので あると思います。これも世界を舞台に活躍するようなアメリカの芸能界にいながらも、愛国心を 大切にしているからこそのものだったのではないでしょうか・・・。

前へ次へ

コラムトップへ