2002年5月24日(金) 「伝説-其の参〜皇帝〜」
今まで2回にわたって取り上げてきたW杯の生んだスーパースターも今回で3回目となりました。
歴代のスーパースターを取り上げるのはとりあえず今回で最後です。(また機会があれば特集を
したいと思います。)最終回の今回は"皇帝"をご紹介したいと思います。
読者の皆様は「キャプテン翼」という漫画をご存知でしょうか?その中で西ドイツ代表の
カールハインツ・シュナイダー(現在のROAD TO 2002編ではドイツ代表)という選手がいます。
主人公大空翼のライバルとして、中学時代の日本Jr.ユースの前に立ちはだかった相手でもあります。
その彼のニックネームが"若き皇帝"でした。初めて聞いたときは単純に格好いいなと思いましたが、
世界のサッカーを知るにつれて西ドイツに"皇帝"と呼ばれた選手がいたことを知りました。それが、
今回紹介するフンラツ・ベッケンバウアーです。
今でこそ"リベロ"というのは当たり前のポジションとして確立されましたが、このポジションを一番
最初に確立した選手が彼でした。DFとして守備の要としての役割を担い、MFの後ろから攻撃を
組み立てゲームメークもこなす、そして時には攻め上がりゴールを決める点取り屋の役割もこなす。
その名の通り"自由の人"として、グランドを縦横無尽に駆け回る。
選手として3度のW杯に出場し、優勝、準優勝、3位の成績を収め、監督としても2度のW杯に出場し、
優勝、準優勝という成績を収めました。以前にも書いたかと思いますが、選手としても監督としても
W杯の優勝経験をもつ史上唯一の人間です。この他にもクラブチームでヨーロッパ・チャンピョンズ・
リーグ3連覇を成し遂げ、個人としても欧州最優秀選手を2度獲得しています。これらの結果を
見てもらえればわかるかと思いますが、ものすごいサッカー選手、いやサッカー・マンです。
しかしなぜ彼が"皇帝"と呼ばれているのか、こういった功績を見ただけではわかりませんでしたが、
VTRで彼のプレーを見たり、イタリアW杯の時の監督としての行為を見ていてなんとなくわかった
気がしました。彼のプレーにはなんというか"威圧力"プラス"気高さ"のようなものを感じました。
皇帝と聞いてまず思い浮かべるのが"威厳"のようなもので、ベッケンバウアーのキャラクターに
まさしくそれを感じたのです。
今大会もドイツ代表は出場していますが前評判は決して良いとは言えません。欧州予選もプレーオフの
末に本大会出場を決めました。しかし日本に大和魂があるようにドイツにもゲルマン魂なるものが
あり、いかに状態が悪くてもドイツは毎大会優勝候補の一角を担ってきました。元グランパスの監督で
イングランドのプレミア・リーグで今年2冠を達成したアーセナルのベンゲル監督も「いつでも、
そして今大会"も"ドイツは怖いチームだ」と言ってました。それはおそらく逆境に強いゲルマン魂の
本質であり、そしてベッケンバウアーの"皇帝"としての威厳が今でも保たれているからでは
ないでしょうか?
近年低迷中のドイツサッカーですが、今大会"若き皇帝"が現れるのでしょうか・・・。
See Ya!!
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