2004年2月22日(日)
「"丼"」



日本の街角から牛丼が消えてから久しい今日この頃です。今回はこの"丼"について書いてみたいと思います。

"丼"といえば、日本人にとっては母親の味的な存在ではないでしょうか?"牛丼"、"カツ丼"、"親子丼"、"天丼"、"うな丼"、"マグロ丼"、などなど数多くの丼ぶりが存在しているのがその証拠ともいえます。
さて、皆さんは数多い丼ぶりの中で何が好きですか?私が一番良く食べるのは"カツ丼"ですが、一番好きなのは"カツ丼"ではありません。それは一番好きな"丼"がどこの店にでも置いてあるわけではないからです。その"丼"は"どて丼"と言いたいところですが、"味噌カツ丼"です。どちらも名古屋名物の"どて煮"と"味噌カツ"をベースのご飯に乗せたものですが、お店によっては卵がついてきて、卵と味噌の絡み合った味がなんとも言えない位に絶妙なんです。以前コラムでも取り上げた「叶」の味噌カツ丼は本当に美味しいです。名古屋に来る機会があれば、ぜひ一度トライしてみてください。

皆さんはこの"丼"の起源をご存知でしょうか?私の知っている範囲で紹介したいと思います。
まずは"うな丼"の起源です。江戸時代にウナギが好きな芝居小屋の主人がいましたが、忙しく食いに行けませんでした。そこで冷めた蒲焼は嫌なので、ウナギ屋に丼に持った熱い飯に焼きたての鰻を入れて持って来させました。これが"うな丼"の起源だそうです。
続いては"カツ丼"です。西洋のカツレツに、日本の天ぷらの技法を用いて生まれたのがトンカツ。それをさらにダシ醤油で甘辛く玉子で綴じて、ご飯と合わせたものが"カツ丼"となったわけです。しかし最初の頃の"カツ丼"は、現在の玉子綴じではなく、"ソースカツ丼"が主流でした。その起源は現在一般的な玉子とじのカツ丼よりも古く、大正時代に考案されたものといわれています。不思議に思うかもしれませんが、元々が洋食のカツレツであったことを考えると、むしろ初期はソースをかけたと考えるほうが自然ではないでしょうか?

BSE問題のおかげで"牛丼"が街角から消えてしまいましたが、"カツ丼"が西洋文明との出会いから生まれ、日本食の定番となったように、"牛丼"に変わるメニューを各社が開発し、そこから新しい"丼"の誕生につながるかもしれません。
新しい"丼"、期待したいと思います。
See Ya!!

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